香南市
タノシムチカラ「赤岡のまちづくり」
「赤岡のまちづくり」が多様な活動をしても軸がぶれないのは住民が自分たちのモノサシを持っているから。まちづくりをコーディネートするチカラと住民のタノシムチカラに注目すべき事例である。
事例本文
赤岡町は、土佐赤岡
絵金祭りでも知られた、高知県のほぼ中央にあった町である。
2006年3月1日に合併により香南市となった。
合併前は日本の市区町村の中で最も面積が小さい
自治体であった。
「赤岡の
まちづくり」は、合併前の1993年に住民の活動から始まった。
赤岡町の民家には、江戸時代、赤岡町で独自の歌舞伎画を描いた
狩野派の絵師「
絵金」が描いた作品が多数保管されており、
毎年7月、「
絵金祭り」の時期には民家の前に作品が展示されていた。
そんな中、町民有志が
絵金の屏風絵に描かれている芝居絵を自分たちで上演しようと
「土佐
絵金歌舞伎伝承会」を発足させ、
絵金祭りの二日間に歌舞伎の上演を始めるようになった。
一方で、1995年には
絵金開運グッズを開発する主婦グループ「やつゆ会金木犀」も発足。
また、学生の発案で街を楽しむ新しい祭り「冬の夏祭り」がスタートしたのもこの頃であった。
1997年1月これらの住民運動を支援するため、役場や商工会は
「
絵金を核とした
まちづくり支援事業」を行い、前述の三つのグループの活動とともに、
赤岡の魅力を発見する「赤岡探偵団」、赤岡の
まちづくりのモノサシをつくる
「赤岡町HOPE計画推進事業」、まちの魅力を褒め続けることで、
残していく「まちの宝物ホメ残し隊」など、
町内外の人たちが赤岡でイベントや
ワークショップに参加することで街の魅力を発見していった。
このような中、町が郊外に多額の費用をかけて
絵金美術館を建築する計画があるのを知った住民は、
「街から遠く離れたところに作っても町民は関心をもたない」
「自分たちの身の丈に合ったものを」ということで、
町の中心に美術館「
絵金蔵」を誕生させることになった。
小さな美術館だが、作品の保存のためレプリカを展示し、
本物はのぞき穴から見る手法はこのとき発案されたユニークなものである。
また、
絵金歌舞伎伝承会の本拠地となる「弁天座」も、
枡席(ますせき)の広さを
ワークショップで決めたり、
住民が様々な使い方ができるように細かなところまで住民が意見を出し合ったりして造られた。
その中で、「まちの宝ホメ残し隊」が残したいと切望していたものの、
結局残せなかった銭湯の入り口は弁天座の一角に町の記憶として残すことができた。
このように住民の思いが詰まった施設は住民の活動と重なりながら作られ、
運営も住民が行い充実した内容となっている。
この赤岡の
まちづくりでは、
行政は常に黒子となりメンバーの一員となって行動してきた。
その結果、住民の
まちづくり活動は20年近くたった現在でも
住民が考え行動する取り組みが継続されている
。住民がタノシムその姿が町内外の人を引きつけているのである。
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