アグリツーリズムとは、都市居住者などが農場や農村で休暇・余暇を過ごすこと。日本では一般にグリーンツーリズム農林水産省は「グリーン」と「ツーリズム」の間に中黒点を入れて「グリーン・ツーリズム」と表記するが、一般的には中黒点を入れないことも多く、厳密な違いはない。 と呼ばれる。「グリーン」は緑の意味の他、エコロジーの意味もあるのでエコツーリズムと混同されやすいが異なる。「農村民泊」などとほぼ同義。地域行政ではアグリツーリズムによって都市と農村が交流し、地域振興が図られる。
Journal of Agriculture, Food Systems, and Community Developmentに掲載された 2018 年の記事では、アグリツーリズム活動はいくつかののカテゴリに分類されている: 消費者への直販 (例:農産物直売所、ユーピック、u-pick)、農業教育(例: 学校からの農場への訪問)、おもてなし(一晩の農場滞在)、レクリエーション(狩猟、乗馬など)、娯楽(干し草乗り、収穫ディナーなど)。ほとんどの農業観光客は、農場を訪れたり、果物を摘んだり、動物に餌をあげたりして時間を過ごしている。トウモロコシの迷路をさまよったり、農場に滞在して雑用や農業や牧場の仕事を手伝う人もある。
ヨーロッパが発祥地で、アグリツーリズモ(伊)、ルーラルツーリズム(英)ともいう。思潮としてはロマン主義の影響を受けた民俗学が挙げられる。民俗学では農村や地方で残っているとされた民俗資料が重視された。そこでしばしば近代化進行によって失われつつあった自然調和の生活が、後に再評価された。
欧州では都市の人が農村に長期滞在してのんびりと過ごすというものだが、日本は都市と農村の距離が比較的近いこと、長期休暇が取りにくい労働環境のため日帰りや短期滞在が多い。団体行動を中心とした旅行形態が好まれることや、祝祭日は別として長期休暇が取りにくいことなど、日本人の価値観・生活様式に合致したグリーンツーリズムが模索されている。このため、あえて「日本型グリーンツーリズム」と表現することもある。
実際の内容として、
1.農林水産物を介した通じた活動(産直・直売所など)
2.イベント(ふるさとまつり・農林まつりなど)
など従来のものから、
3.農業・農村体験(市民農園、田植え・稲刈り、乳搾りなど)
4.学校教育における農村や農業とのふれあい
5.自然の営みとのふれあい
まで、幅広く都市と農山漁村との交流一般を指すことが多くなっている。
1992年度(平成4年度)に農林水産省により「グリーンツーリズム」という言葉が提唱された。1996年度までに全国205箇所1993年度25・1994年度25・1995年度80・1996年度75 をモデル地区として指定し、振興を図った。同省では、グリーンツーリズムを、農山漁村地域において自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動として位置づけている。「滞在型」とは「周遊型」に対する概念であり、必ずしも宿泊に限定されるものではない。
根拠法は、平成18年5月1日に施行された「農山漁村余暇法」(または「農村休暇法」)である正式名称:農山漁村滞在型余暇活動のための基盤整備の促進に関する法律(平成6年6月29日法律第46号、最終改正平成17年7月26日法律87号。。
近年、スローフード、スローライフなど、効率万能、規格量産化に疑問を覚える人が増えている。また、生物の営みとのふれあいが希薄となり、自然と人間のかかわりが縁遠くなってしまった。そのため、グリーンツーリズムに関心が寄せられている。
農山漁村も、地域活性化のため導入を図ろうとしているが、単なる簡易宿泊施設や農産物加工施設など箱物の整備に終わってしまうケースもある。
漁村に滞在する漁村滞在型余暇活動の場合は、"ブルーツーリズム"と呼ばれ、離島や漁村の振興が図られるhttps://www.mlit.go.jp/crd/chirit/blue-t/bt.htm「ブルーツーリズム推進のための手引き書、パンフレットの作成・貸出・配布-平成10年度海の資源を活用した漁村地域余暇活動に関する調査の成果-」厚生労働省・水産庁共同計画。