原子力発電所

原子力発電所(げんしりょくはつでんしょ、)とは、原子力発電の方式による発電所大辞泉』「原子力発電所」

原子炉の中でウランプルトニウム核分裂を持続的に、連鎖反応的に進行させ、その核分裂反応によって発生するエネルギー熱エネルギーの形で取り出し、それによって蒸気タービン(羽根車)を回転させて発電を行う発電所である『ブリタニカ国際大百科事典』「原子力発電所」

略称としては、日本語では原発(げんぱつ)と略される。原発立地の道路の案内標識では「○○原電」と表記されることもある。核燃料を使用して電気を起こすことから、核発電所(かくはつでんしょ)ともいう。

、発電量のトップ5はアメリカ、フランス、日本、ドイツ、ロシアである。発電量に占める割合は、フランス77パーセント、ベルギー57パーセント、ウクライナ44パーセント、韓国36パーセント、日本33パーセントである高田純 『世界の放射線被曝地調査 自ら測定した渾身のレポート』 講談社 2002年 ISBN 4-06-257359-8 p.51.

2011年に発生した福島第一原子力発電所事故の影響により、ヨーロッパ諸国では脱原発・再生可能エネルギーへのシフトの機運が高まっているが、アメリカ、日本、フランス、中国、ロシア、韓国、カナダなどの原発メーカーによって、脱原発の道を選んだ一部ヨーロッパ諸国(ドイツ、イタリアスイススペインなど)以外での原発新設の受注を狙っての競争が激化している。

海上原発

深刻な放射能汚染を引き起こす可能性がある原子力事故を防ぐため、原発は通常、地盤が強固であるなど災害リスクが少ない土地に建設される。一方で、原子炉を動力源とする原子力船原子力潜水艦を含む)が1950年代から実用化されており、さらにロシアと中国は浮体式で海上を移動可能な水上原子力発電所を開発している。ロシアのロスアトムは、ムルマンスク港内で世界初の海上原発「アカデミック・ロモノソフ」を稼働させたと2018年12月に発表し、今後、シベリア東部の北極圏にあるペヴェクに移動させることを計画している。また中国は南シナ海で領有権を主張する島々への電力供給への利用を想定していると推測されている遠洋に「ポン置き」事故時は沈める/ロ中が開発「海上原発」自然環境への脅威 南シナ海の火種にも『東京新聞』朝刊2019年1月7日(特報面)。

発展途上国における原発建設ラッシュ

原子力発電所建設のための資金調達は、発注側が自己資本で建設するだけでなく、受注した建設者側が必要な資金を提供し、将来発電所から生じる電気料金などの収入で投資額を回収する、プロジェクト・ファイナンス(PF)方式による建設の傾向が生まれている。一度に工事費用を支払うのが難しい国において、インフラ投資を促進する存在としての役割を担う。

地球温暖化対策として、2009年に鳩山由紀夫首相で鳩山イニシアチブが策定され、原発の積極利用も検討された。鳩山はベトナム首相のグエン・タン・ズンから、ベトナムでの原子力発電所建設の依頼の手紙を受け取った。鳩山は、「ベトナムは日本の原発技術を使うことを検討するだろう」と述べた。2010年10月受注が決まったベトナムの原子力発電所2基建設については、財務省所管の国際協力銀行がファイナンス役として参画している。またこれに続いて交渉継続している(2010年末現在)トルコの原子力発電所建設にも、このプロジェクト・ファイナンスが導入される予定

またロシアによる原発輸出は、原発の建設を請け負うだけでなく、核燃料供給から人材育成、放射性廃棄物回収までを担うことが強みとなっている海外調査報告書『ロシアの原子力開発』津田憂子国立研究開発法人科学技術振興機構研究開発戦略センター(2017年3月)2019年1月10日閲覧。

主なメーカー

かつてのメーカー

初期の原発ブームとその後の停滞期を経て世界的なメーカーの寡占化が進み、21世紀初頭には大手原発メーカーはアレヴァ-三菱、東芝 (WH)、GE-日立の西側諸国3グループや、ロスアトム、台頭する中国メーカーに集約されつつあったが、2017年にはウエスチングハウスやアレヴァが経営破綻するなど、現在も状況は大きく変化している。


ファイル:Nuclear Power Plant Cattenom.jpg|カットノン原子力発電所
ファイル:Forsmark3.jpg|フォルスマルク原子力発電所3号機

議論

原子力発電所の設立、存続に関する議論には、多数の立場や観点によるものが存在している。賛成派の主張として、新たな雇用の創出、発電コストの低下とそれに伴う電気使用料の値下げ、火力発電によるCO2排出と比較してカーボンニュートラルであること等が挙げられている。反対派の主張としては、原子力事故廃炉放射性廃棄物の処理、軍事転用や核テロリズムに起因する放射能汚染への警戒や、これらのリスクや事故に対応するための経済的負担藤岡惇、「アメリカ原子力発電産業の現段階」『立命館経済学』 1997年 45巻 p.528-540, , 立命館経済学などが挙げられている。

原発と軍事

核分裂反応は商用原発より先に、核兵器原子爆弾)として軍事利用された(「マンハッタン計画」「広島市への原子爆弾投下」を参照)。また放射能汚染をもたらす核物質は、「汚い爆弾」など核テロリズムへも使用されうる。

このため、核拡散防止条約に加盟する核兵器非保有国は、原発やそこで使われる核燃料の再処理工場などの原子力施設では、秘密裏の核兵器開発やそのための核物質盗難を防ぐため、その国の政府機関や国際原子力機関(IAEA)による査察など厳しい監視や保安対策が行われる査察について原子力規制委員会(2019年1月10日閲覧)。

1977年に採択されたジュネーヴ諸条約追加議定書(第56条)において、原子力発電所は「危険な力を内蔵する工作物及び施設」の一つとして位置づけられ、武力による攻撃が禁止されることとなったが、他国の核兵器開発阻止や発電所の破壊、占拠などを狙った原発への攻撃も、下記のように実際に起こっている。

脚注

注釈

出典

参考文献

関連項目

技術・施設
災害
その他
**核テロリズム:原発を狙ったテロもこの一種
* EUタクソノミー:2022年、欧州議会は原子力発電をグリーンな電源として活用する方針を決定した。再生可能エネルギー技術が成熟するまでの経過措置としてではあるが、フランス等を中心に原発の新増設が進むとみられる。

外部リンク

Category:エネルギー政策

wikipediaより

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