水俣市
「海藻の森づくり構想」による環境・漁業の再生プロジェクト
海の再生を目的に「海藻の森づくり構想」を策定。水産関係者、公募住民も参加する協議会を中心に、地域の各層を巻き込みながら、海藻の養殖などで海の環境・漁業の再生に取り組む。
事例本文
水俣市は2005 年度、「海藻の森づくり構想」を策定した。
これに基づき水産関係者のほか商工、観光業者なども入った産官学からなる協
議会を設置し、
「海の再生」を共通
目標にした下記二つのプロジェクトを
戦略的に展開している。
(1)海藻の森推進プロジェクト:漁業および水産業振興までを視野に入れた取り組みであり、
コンブやワカメ栽培による海藻
資源の活用(食品や
肥料)と、
海藻による魚の産卵場所確保(海のゆりかごづくり)による漁業振興を行っている。
(2)アマモ再生プロジェクト:過去沿岸地域に広く見られたアマモ(海草)を
取り戻す活動で、干潟に植え付け自生を促進し、海や沿岸
土壌の浄化を行っている。
アマモの群生は、海藻の森と同じく海のゆりかごとしても機能し、
漁業振興にもつながることが期待されている。
この事業により、海藻が海水中のリン、窒素を吸収し海の浄化が進むことで
海中酸素量の増加にもつながり、
地球温暖化対策への寄与も期待されている。
海藻養殖を住民に周知するため海藻株主(オーナー)制度も導入。
株主らは種付けから収穫までを体験しながら
環境再生を考えるという、
水産業の振興と
地域づくりとが連携した事業である。
さらに、海の再生に有効な海藻の生産と消費の循環を図るため、
海藻を活用した加工品の商品開発を行い観光物産館などで販売。
農産加工場では「ふりかけ」が、麺製造場では昆布粉を練りこんだ
「うどん」などが製品化された。
また
環境再生と漁業振興を図るために「みなまた
環境テクノセンター」が
漁業者の海藻養殖確立の技術的支援を行い、海藻の養殖から藻場造成、
種苗生産などを進めるほか、海藻の機能などについて
学習や
研修会も開催している。
過去、公害によって汚染された海の
環境を再生し、
もう一度豊かな海を取り戻そう、住民自らが海の再生を図ろうという取り組みである。
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