長崎市
よみがえれ、石畳の川

(1)戦後、暗渠化されていた歴史ある川が暗渠を撤去し、本来の川としてよみがえる。
(2)川がよみがえることで街の活性化につながる。
(3)街の中心を流れる川によってヒートアイランド現象の防止となる。

事例本文

江戸時代から丸山の入り口として、思案橋と共に坂本竜馬をはじめ
文人墨客が往き来した長崎の市街地を流れる川でありながら、
石橋群がある中島川に比べて市民の関心が低い銅座川は、市の管理する普通河川で、
正覚寺、思案橋、新地、出島を経由し長崎港へとそそぐ川である。

この銅座川の銅座から正覚寺にかけては、戦後の道路拡張に伴い、
路面電車の軌道上にできた闇市の転居先として暗渠化されたもので、
市民にもあまり知られてなかった。

そのため、暗渠に入って調査すると、川床には綺麗な石畳が銅座から思案橋間に存在しており、
テナガエビ、ウナギなどが生息しているのが確認された。
この石畳は、1886年ごろから1915年ごろまでの間に造られたと推定されるが、
正確な年代はわかっていない。
また、下流の新地中華街付近も暗渠化し、県営駐車場として使用していた。

しかし、暗渠は水害の原因にもなる。
市は1982年の長崎市大水害以来、住民から県営銅座駐車場の撤去が
優先されるべきであるとの指摘を常に受けてはいたが、
当時は周辺の駐車場不足などから撤去が難しかった。

しかも駐車場は黒字の収益事業だったため、
県からよい回答は得られずなかなか進まなかったのである。

それでも撤去の時期などについて協議を何度も重ね、
2007年、なんと40年ぶりに暗渠が撤去された。
川に光がそそがれたのである。
そして、歩行者空間の整備、河川護岸の修景整備などの撤去後の整備のあり方については、
行政と住民の間で協議を行い、現在、歩行者空間の整備と河川護岸の集計整備を進めている。

当河川周辺は最も賑わいのある地区であり、景観上も重要な地域であるとともに
日常的に非常に多くの市民・観光客の目に触れる場所である。
そして、2012年に開催されたランタンフェスティバルにおいては、
銅座川の上空に煌びやかな桃色のランタンが装飾され、
多くの市民・観光客を楽しませることとなった。
市民・観光客の新たな回遊拠点となることが期待されている。

しかし、銅座川の上流部約500mがまだ暗渠の下にあり、
そのうち歴史的に貴重な石畳部分は約200mある。この暗渠部分も撤去され、
川床の石畳が目に触れられるようになるといいと思う。
この暗渠部についてはこれからの課題である。

自治体情報

自治体名 長崎市(外部リンク)
都道府県名 長崎県
人口 443,766人
部署名 河川課
TEL 095-829-1184
FAX
E-mail kasen@city.nagasaki.lg.jp

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