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}}は、生物化学的酸素消費量とも呼ばれる最も一般的な水質指標のひとつであり、主に略称のBODが使われている。
水中の有機物などの量を、その酸化分解のために微生物が必要とする酸素の量で表したもので、特定の物質を示すものではない。単位は mg/L または mg-O2/L だが、通常 mg/L と略される。一般に、BODの値が大きいほど、その水質は悪いと言える。
水質汚濁の典型的な形態として、過剰な有機物の排出が招く、腐敗による酸欠がある。
水中の酸素(溶存酸素)が減少すれば、魚類等の好気性生物が生存できなくなり、さらになくなった場合には、いわゆる「水が腐る」状況となり悪臭等の発生に至る(魚類が生存可能な溶存酸素濃度の下限が3 - 5 mg/Lと言われ、環境基準のC類型の基準値として採用されている)
歴史上、産業革命とともに水質汚濁に直面したイギリスにおいて発案されたと言われている。現在の試験方法は1908年王立委員会(河川汚染と下水処理)により、河川を汚染する有機物に対する最適な試験方法として5日間法が選定され、その後下水処理場の河川放流基準として20 mg/Lが採用された規定を引き継いでいる。(この5日間の根拠は、当時イギリス本土の河川は流達時間が最長で5日とされていたためで、それはテムズ川のことと見られる)
日本には第二次世界大戦後アメリカから導入され、法令や基準に取り入れられた。現在では、水質環境レベルの指標として環境基準に用いられているのをはじめとして、排水の性状や水処理装置の性能を表すため、JIS規格、水質汚濁防止法や下水道法、建築基準法などに登場している。
BODの測定は、河川などで生じる水質汚濁の自然浄化をシミュレーションしたものである。
採水により水とともに当然採取されるその水域の微生物の活動による酸素消費を計測することで、一定時間外部から酸素供給がなされない場合に、その河川水の溶存酸素がどこまで減少するかを指標化した。
試料の溶存酸素量や微生物の種類などによって測定値は影響を受けるため注意が必要である。
環境水の水質測定を目的として発案されたBODであるが、その後排水規制等に活用され、微生物の存在が期待できないような水については、植種を行って測定する手法も採用されることとなった。
また、硝化性微生物の活動(窒素性物質の酸素消費)を抑制するBODatuなどもあり、これによる測定値、測定対象を窒素性BOD(N-BOD)、BODからN-BODを減算したものを炭素性BOD(C-BOD)とすることも見られる。
BOD5として測定される物質は、次のように大別できる。
BODは特定の物質を測定するのではなく、ある条件下での試験の結果であるため、一定の操作手順を踏まえないと測定誤差を生じる恐れが高い。
具体的な測定器具・手順は規格によって様々だが、時間の掛かる公定法と短時間で結果が出せる簡易法がある。各国で採用されている公定法は概ね同様だが、その測定目的、行政判断等により様々設定がなされている。
特に培養日数は、河川の水質状況については一般的に5日間BODが採用されるが、週休2日制を前提として採取時期の自由度を上げる7日間BODも採用されている。
このほか、生物分解可能な有機物の大半の測定や、物質の生分解性評価を目的とする長期間(10、14、20日間)BODや、生物分解可能な物質を全量を測定するための代替指標として100日間BODの測定が行われている。
環境基準と排水基準が設定されているほか、それを踏まえた各種の基準が存在する。
BOD指標は海域と湖沼では用いられない。その理由としては、湖沼においては、河川より滞留時間が長く、長期のBODによる測定が必要なことから、行政的に用いられておらず、その代替指標としてCODが採用されている。
海域においては、塩化物イオンの影響から溶存酸素の測定が複雑化すること、水質汚濁が問題となりやすい内湾等の閉鎖性海域において、滞留時間の関係から短期BODでは環境状況を反映しにくいことから、これも行政的に採用されず、代替指標としてCODが採用されている。