遊佐町
農業・環境の再興で食糧自給率向上をめざす
(1)耕作放棄地の回避と食糧自給率向上をめざした、協働による飼料用米の生産
(2)フードマイレージの短縮と食の安心・安全の確保
(3)食-農業-観光-教育、都市-農村などをつなぐ総合的計画の策定
事例本文
24年来、米を通じて連携してきた遊佐町の米生産農家と
消費者(
生活クラブ生協)は、
1988年に安全・安心な米「共同開発米」の栽培を始めた。
当時の取り組み面積は24ha、集荷俵数にして2,273俵。
それが現在では10万俵を超える規模にまで拡大している。
これは遊佐町の水
稲作付面積の約半分を占め、
地域
農業全体にも大きな影響を持つようになっている。
また、遊佐町は「
飼料用米が日本の食卓を救う」と
「遊佐町・食べる手・作る手・つないで食の再興計画」に明記し、
飼料用米プロジェクトをすすめてきた。
このプロジェクトは、2004年から町と
JAが事務局となり「食料自給率向上特区」での
NPOによる農地借り受けなど、
稲作農家、
養豚農家、
養豚業者、
生協、
消費者が
連携して取り組んだもので、
飼料用米の品種選定や低コスト生産試験、
豚への給与試験、肉の評価や
PRなど一貫した調査検討を行っている。
飼料用米生産から
飼料用米で育った豚肉
ブランド「こめ育ち豚」までの
生産・流通・消費までつながる一体的な取り組みが評価され、
2008年度の
畜産大賞では見事「最優秀賞」を受賞した。
このプロジェクトにより、転作による
耕作放棄地を生み出してしまう状況を回避し、
世界に誇る日本古来の
水田文化を守ることができるとともに、
飼料用米を豚に与えることで、
遺伝子操作のない安心、安全、高品質な畜肉も生産できる。
稲作用機材を活用して栽培できるため、農家の負担感はなくメリットも大きい。
さらに、町の
特別栽培米にも豚の糞尿を活用するなど
米づくりと
畜産とをうまく連携させており、
化学
肥料の使用削減にもつながっている。
プロジェクトは2006年で終了し、
2007年からは「
食糧自給率向上モデル事業推進会議」を立ち上げて引き続き活動している。
遊佐町の
飼料用米の作付けは、プロジェクトがスタートした当初は21人の農家が参加し、
面積は7.8haだったが、2011年度には445人の農家が参加、
面積も317haと大幅に拡大していることから、
国内の穀物自給率向上を図ることにつながると各地からの視察が後を絶たない。
この
食糧自給率向上モデル事業推進会議の事務局は遊佐町産業課が担っているが、
生産者や
畜産業者、
JA、生活クラブ(
消費者)、
大学の専門家や研究者などで構成されており、
生産地も山形だけでなく宮城や岩手、栃木など全国的な広がりを見せている。
つくる人、食べる人が同じテーブルの中で一緒に考え
地域から自給率を向上させるこの取り組みは、
水田の荒廃を防ぎ農地を保全し、
消費者には安全で安心な食の提供ができるしくみとなっている。
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