三鷹市
パートナーシップ協定
基本構想、第3次基本計画策定に向けた「みたか市民プラン21(市民プラン21)」の作成にあたり、市と市民参加組織との対等な役割と責務を定め、協働で活動するための相互協力の内容を定めた。「パートナーシップ協定」はその後も、「まちづくりディスカッション」の実施時等に締結され、三鷹市の協働の基本的な手法として、市民と市の協働の形として定着している。
事例本文
三鷹市は2001年度に策定された基本構想第3次基本計画を、
市民からの
政策提言(「
市民プラン21」)を反映させる形で策定した。
「
市民プラン21」は、市と
市民の
協働によりつくられたが、
「対等な立場に立って議論や意見交換を行うこと」「それぞれの自主性を尊重すること」
「進捗状況について相互に連絡を密にし、互いに協力すること」という
協働の3つの原則を遵守し、
策定のプロセスを市と
市民が対等な立場で全うするため
「
パートナーシップ協定」が結ばれ、すすめられた。
パートナーシップ協定の中で、「
市民プラン21」の策定主体である
みたか
市民プラン21会議(
市民21会議)と市とは、
次の「役割と責務に関する8つの約束」を交わしている。
■みたか
市民プラン21作成に関する
パートナーシップ協定
【
市民21会議の役割と責務】
[1]
市民21会議は自立的な組織として
市民プランを作成します。
市民プランの検討・作成・実現に向けて、自ら進んで積極的に参加し、行動します。
また、
市民プランを作成するために、検討内容に関する情報の収集、
市民プランの起草などのさまざまな取り組みを行います。
[2]
市民21会議は
市民の意見や要望を幅広く集めて
市民プランを作成します。
幅広い
市民の要望をできる限り多く収集するために、各種フォーラム、
ワークショップ、
アンケート、
学習会などを開催し、極力公正で実現性のある
市民プランを作成します。
[3]
市民21会議は
市民相互の意見調整に努めます。
多様な意見を集約して
市民プランに反映するために、
既存の団体との情報や意見の交換、相互調整などを行います。
[4]
市民21会議は情報を公開します。
市民プラン作成の経過・内容・成果などについて、
より多くの
市民の目に触れるように広く一般に
情報公開や情報提供をするよう努めます。
[5]
市民21会議はプライバシーを守ります。
市民プランを作成する過程で知り得た情報のうち、プライバシーに関するものなどについては、
市の個人情報保護
条例に基づいて個人情報の保護に努めます。
[6]
市民21会議は計画素案への意見表明を積極的に行います。
市民プランに基づいて市が作成する計画素案等に対しても、その反映の度合いなどについて報告を受け、
検討する機会を積極的に設定し、速やかに意見表明を行います。
[7]
市民21会議は費用の使途を明確にします。
市民プランの作成にかかる費用のうち市が補助したものについては、
その使途を明らかにし、適宜その額および内容を市に報告します。
[8]
市民21会議は2000年10月末を
目標に
市民プランを作成し、市への提言を行います。
21世紀に向けて市の基本構想・基本計画が策定されるために、
市に対する
市民プランの提出は、2000年10月末を
目標にして作業を進めます。
【三鷹市の役割と責務】
[1]市は
市民21会議に対して情報を提供します。
市民プランの検討に必要な情報を収集、提供、公開します。
[2]市は
市民21会議と市の各セクションとの間の連絡及び意見調整を行います。
具体的な検討に関して、
市民21会議と市の各セクションとの連絡及び
意見調整を必要に応じて行い、その結果を報告します。
[3]市は
市民21会議の活動に必要な場所を提供します。
市民21会議が自立的な活動を行うための場所を提供します。
[4]市は専門家の派遣や調査活動などについて支援を行います。
市民プランの作成に関する専門的立場からの知識や情報の提供、
各種調査活動の支援、講師などの
人材の斡旋・派遣について、
(財)三鷹市
まちづくり公社の
まちづくり研究所等の協力を得て、
市民21会議を支援します。
[5]市は
市民相互の意見調整を行うための支援を行います。
市民21会議による
市民相互の意見調整について、
その情報交換や意見調整を行う際の支援を行います。
[6]市は
市民21会議が作成する
市民プランを最大限、計画に反映します。
市は
市民21会議が作成する
市民プランについて、
その提言内容を最大限反映して、基本構想・基本計画の素案を作成します。
[7]市は
市民21会議に計画素案を提示し意見を求め、内容を調整します。
市民プランに盛り込まれた提言内容が基本構想・基本計画の素案に反映されているかどうか、
反映できないとすればその理由について、市は
市民21会議に対して提示し説明します。
また、素案に対する
市民21会議からの再提案を受け、相互に意見調整を行って最大限反映するよう努めます。
[8]市は運営上必要な経費を
予算の範囲内で負担します。
市は、
市民21会議が
市民プランを作成するために必要な、会議の開催や調査、
講師などの
人材派遣、事務局人件費など、運営に関する諸経費を
予算の範囲内で負担します。
また、この経費のうち
市民21会議に
補助金として支出する部分については、
その使途のチェックを行います。
そして、
パートナーシップ協定の中では、
市民プラン作成後の検証・評価についても「
市民と市とは、
基本構想・基本計画策定後も、三鷹の
まちづくりに対して共に責任を持ち、協力を続ける。
また、
市民プランの着実な実現を図るため、
市はその実施状況を
市民に報告する義務を負うものとする」ことを明記していた。
さらに、
市民プランの作成中は、400人近くの
市民が参加し、全体会が20回、
分科会等を含めると700回以上の会議が開催された。
市職員も連日会議に参加するなど関わった職員は約100人にのぼる。
市民への情報提供も積極的に行い、例えば近隣の4つの市と比較して、
三鷹の不利な点、有利な点を示した「三鷹を考える論点データ集」を全庁横断的なメンバーでつくり、
それを使って
市民との
学習会なども開催した。
当時、このように
政策への本格的な市参画を行うために、
行政が
市民と市との対等性を担保するための方策を実施したことは画期的であったといっても過言ではないだろう。
パートナーシップ協定は、第4次基本計画の策定でも導入されている。
三鷹市では、2006年度から「
無作為抽出による
市民討
議会」形式を採り入れてきた。
第4次基本計画策定においても、この手法をとりいれた「
まちづくりディスカッション」を実施し、
市民参加の経験がなかった
市民を含め、より広範で多種多様な人々が参加できるようにしている。
「
まちづくりディスカッション」の実施は、
NPO法人みたか
市民協働ネットワークと三鷹市が
「第4次基本計画策定に向けたみたか
まちづくりディスカッション」実施に関する
パートナーシップ協定を締結し、
行政主導ではなく
市民主体の
実行委員会形式で行う。
パートナーシップ協定は、三鷹市の
協働の基本的考え方として、さまざまな
協働事業で実施されている。
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