野洲市
魚が田んぼや排水路を行き来する「魚のゆりかご水田」
水田環境の再生のため、排水路に魚道施設を設置し、魚が水田に自然に遡上し繁殖できるようにする。さらに環境学習や米のブランド化などにも活用。
事例本文
琵琶湖沿岸の
水田は、かつて魚(
フナ、
コイ、
ナマズなど)にとって
絶好の産卵繁殖場所であったが、
圃場整備や河川改修などで
移動経路が分断されてしまった。
そこで、「魚のゆりかご
水田」プロジェクトが滋賀県
農村振興課の事業として進められている。
住民参加で
水田と排水路の段差を改修し、魚が自然に遡上できる構造にすることで、
水田が有する多面的機能について理解を深め、
地域の
生態系保全や
環境と調和した
農業の推進を目的としている。
野洲市では2006 年度菖蒲地区の1.3haから始まり、
2010年度は5地区計23.1haに広がっている。
それぞれの地区において、農家、
JA、
自治会、
市民団体、土地改良区、
野洲市などが参加する「ゆりかご
水田協
議会」が設立され、
地域住民も参加して施設づくりや観察会などを行っている。
また、この
水田で採れた米は、「魚のゆりかご
水田米」として
商標登録され、
ロゴマークもつくられている。このお米は店舗で販売されるほか、
市内の
学校給食として出されるなど
食育にもつながっている。
この取り組みは、
琵琶湖沿岸に特有な生物
環境における
水田の役割を意識したもので、
特に魚と
水田という組み合わせがユニークである。
また、工事の実施や
ブランド化、学校での
食育などに地域の多様な関係者が参画し、
人と生き物、
農業との共存という視点からの具体的かつ広範囲な取り組みになっている。
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