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| 等級・称号 = 税理士
| 公式サイト = 国税庁
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税理士(ぜいりし)は、税理士法に定める国家資格およびそれを職業とする専門家であり、職務上請求を行うことができる八士業の一つである。
徽章は、日輪に桜。他に、税理士会連合会から顔写真つきの登録者証「税理士証票」(通称「税理士バッジ」)を交付される。
税理士は、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とするとされ(同法1条)、業務として、他人の求めに応じ、各種税金の申告・申請、税務書類の作成、税務相談、税に関する不服申立て等を行う。
英名について、日本税理士会連合会は、国内外において一定程度普及しているとみられることなどを理由に、原則としてCertified Public Tax Accountantを用いることとし、場面により「ZEIRISHI」の併記も可としている、弁護士法の訳文中には「tax attorney」(第3条第2項、第7条第3号)と「tax accountant」(第83条、昭和三十二年六月一日法律第百五十八号附則第15項)の双方が混在しており、その訳語は一定していない。}}。
江戸時代においても慶応4年(1868年)租税之章程対策貢士対策所に提出された大溝藩(近江国2万石)の租税改革の答申 のように様々な租税改革がなされてきた。明治維新以後しばらくの間、税制は旧慣習によることとされていたが、版籍奉還・廃藩置県によって旧藩の債務を引き継いだ新政権は財政的な困難に陥り、これを契機として税制の整備がなされるようになった当時の世情について 国税庁 なぜ、税を納めなければならないのでしょうか税のエピソード・日本編 の福澤諭吉と税を参照。。
1873年(明治6年)に地租改正条例の公布がなされ、土地所有者が納税義務者となり、収穫力に応じて決められた地価が課税標準とされた。明治初期は国税収入に占める地租の割合が8割を占めるなど、当時の租税は農業への課税が中心であった税務大学校租税史料1 近代税制の幕開け ―地租改正― を参照。。
財界においては、1878年(明治11年)3月、三菱財閥が慶應義塾の分校的教育機関である三菱商業学校を設立する等、急速に商業取引に関する社会制度が構築されていった。とくに、簿記教育分野に於いては、商法講習所(一橋大学)と簿記講習所(慶應義塾)が創設され、今日の商業高等学校や商学部へ繋がる簿記普及の礎が出来上がった日本会計史学会長 工藤栄一郎「明治初期における簿記知識の社会普及と『帳合之法』および慶應義塾の貢献」福澤諭吉年鑑 50号 pp.23-38 2023年12月。1875年2月、酒類税則が制定された。明治維新後、免許料を払えば自由に酒造が行えるようになったため、日本全国で地主による酒造業が展開された。地主の子息が簿記講習所(慶應義塾)等で簿記を学び、日本各地で商業活動をすることで商取引の記録が帳簿付されるようになり、課税が容易となった。酒税が国税に占める割合は地租税と並び高かった。
その後、1887年(明治20年)に所得税、1897年(明治30年)には営業税が国税として創設され、徐々に商工業者への課税が税全体に占める割合を高めていった。税負担の増加に対して、商工業者のなかには、退職税務官吏や会計の素養がある者に税務相談等を行ったり、申告代理を依頼する者があらわれた。このような税務相談や申告代理が今日の税理士業務の発端ではないかといわれている。日本各地にある税務監督局(国税局の前身)が相談窓口である。たとえば、明治35(1902)年、東京国税局の前身である東京税務監督局が慶應義塾最寄りの三田_(東京都港区)に設置された。なお、令和の現在、東京国税局は商法講習所と簿記講習所があった場所に程近い築地へ移転されている。
1904年(明治37年)の日露戦争勃発で、財政需要が拡大し増税がなされたのに伴ってこの傾向は顕著となり、税務相談や申告代理を専門に行う者も増えた。彼らは税務代弁者あるいは税務代弁人と呼ばれた。しかし、無資格で業務が行われていたため、専門家として税務をおこなっていた国税従事者(いわゆる税務署 OB)、弁護士、計理士の他に悪質なものも税務代弁者として税務を行うことができ問題となった。
税務代弁者が増える一方、これらの者の中に、納税者が税についての知識を有していないことに乗じて、不当な報酬を要求したり、税務官庁に対して何ら理由もなく異議申し立て等を提出させるなど税務官庁との紛争を起こさせようとする者があらわれるようになった。このような不適格者に対する規制として、大阪府で1912年(明治45年)に府令として「大阪税務代弁者取締規則」が制定され、同じく京都府では1937年(昭和12年)に「京都税務代弁者取締規則」が制定された。
この規則は、税務代弁者は警察の営業免許を受けるものとし、名義貸し禁止・信用保持義務を課すものであり、地域的な治安維持を目的として設けられたものであったが、問題解決には至らなかった。
1937年(昭和12年)の日中戦争勃発から第二次世界大戦の時期にかけて、増加する戦費を調達するため度重なる増税がなされ、また税制度はより複雑となっていった。さらに、税務当局においては官吏の多くが兵員として出征していたことから人員不足に陥り、税務行政の執行に支障をきたすほどの状況にあった。このため税務代弁者等の数が減少し、このような混乱した状況に乗じて、不適正な税務指導等を行って不当な報酬を納税者に要求する者が横行するようになっていった。このことから、税務代理士の制度を設け、その資質の向上を図ると共に、これらの者に対する取締りの徹底が必要であるとされ、1942年(昭和17年)に税務代理士法(昭和17年2月23日法律第46号)が制定されるに至った。弁護士、計理士、国税従事者は税務代理士に許可、強制入会されることとなるが、この税務代理士というものは税務を行う者の総称というものであり、この税務代理士なる名称が後の税理士の前身となった。
当時の計理士の営業地域は全国(内地・外地を含む)に及ぶ広大な範囲だったことや税務調査手続時の立会・交渉等について、下記の記録が残っている。
税制において、1947年(昭和22年)以降、従前の賦課課税方式から自己申告方式である申告納税方式が採用される等民主化の観点からの見直しが行われた。日本の税制・税理士制度の近代化に大きな影響を与えたものとして1949年(昭和24年)に来日したコロンビア大学教授シャウプ博士を団長とするシャウプ税制使節団の報告書いわゆるシャウプ勧告がある。
この勧告は、税制において申告納税制度の普及定着のため青色申告制度をはじめ日本の税制を体系的に大きく改革させると同時に、税理士制度についても税務代理士制度を廃止させ新たに税理士法を制定させる契機となった。これは、各府県が徴収してきた地租を所得税中心の税制に転換し、徴税権を大蔵省へ集中する制度設計となっており、大蔵省主税局が政策立案し、外局である国税庁が税を徴収する組織となった。税理士は国民と行政庁との橋渡しをする代理人としての役割を担い、国税庁により税理士は監督下に置かれている。このような日本の税理士制度はシャウプ勧告の内容を理念として制定されている。シャウプ勧告では税理士制度について「納税者の代理人」という標題のもと論じている。この勧告の中では税に関する専門家である税理士の果たすべき役割として次のように記述されている。
「納税者の代理人を立派につとめ、税務官吏をして法律に従って行動することを助ける積極的で見聞のひろい職業群が存在すれば適正な税務行政はより容易に生まれるであろう。また、引き続いて、適正な税務行政を行うためには、納税者が税務官吏に対抗するのに税務官吏と同じ程度の精通度をもってしようとすれば、かかる専門家の一段の援助を得ることが必要である。したがって、税務代理士階級の水準が相当に引き上げられることが必要である。かかる向上の責任は主に大蔵省の負うべきところである。税務代理士の資格試験については、租税法規ならびに租税および経理の手続と方法のより完全な知識をためすべきである。」
つまり、税理士制度を「納税者の代理人制度」としてとられ、適正な税務行政を行うため「税務官吏をして法律に従って行動することを助ける」と同時に「納税者が税務官吏に対抗するのに税務官吏と同じ程度の精通度を持った援助者たる専門家」としての役割を求めている。また、そのためには「税務代理士階級の相当水準の資質の向上を図る必要がある」と勧告している。
この勧告を受け税務代理士制度の是正を行うため、新たな税理士制度として税理士法が1951年(昭和26年)3月30日に議員提案により国会に上程され、同年5月31日に可決され、直ちに6月15日に公布され同年7月15日に施行された。
税理士法の特徴としては、名称を「税務代理士」から「税理士」に改称したこと、そして何よりも税理士業務を行うための資格付与については許可制度を廃止し新たに試験制度を導入したことが挙げられる。税理士法制定の提案理由については、1951年(昭和26年)3月31日の衆議院議員大蔵委員会の国会議事録によると、「戦後申告納税制度および青色申告制度等が実施せられ、租税制度に根本的な改革があり、税務代理士の職責はますます重加し、その素質の向上をはかる必要が強く要望されていた」とあり、これを踏まえ「人格および能力ともに適切な人材が納税者の代理等の業務にあたり、租税負担の適正化を図りつつ、申告納税制度の適切な発展のため、従来の許可制度から原則として試験制度に改め資質向上を図った」とある。
平成14年4月より、税理士業務報酬規定は廃止となった日本税理士会連合会業務対策部「税理士業務報酬算定に関するガイドライン(指針)」(閲覧日2016.2.25)。また、時同じくして、日本税理士会連合会は、昭和58年4月20日付日連第36号(登第12号)「税理士の広告に関する取扱いについて」示達を廃止し、広告に関する規制が自由化された。日本税理士会連合会は税制審議会がまとめた答申を毎年、関係省庁に提出する税制改正建議書に反映させている。
税理士は、他人の求めに応じ、租税に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする(税理士法2条1項)。
税理士は、税理士の名称を用いて他人の求めに応じ、税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を業として行うことができる(同法2条2項)。
税理士は、業務に付随する範囲において社会保険労務士業務の一部をなすことができる(社会保険労務士法27条・同施行令2条)。また、税理士となる資格を有する者は行政書士登録を受ければ無試験で行政書士となることができる(行政書士法2条)。
e-Tax (いーたっくす・国税電子申告・納税システム)の普及に伴い、税理士業務のIT化が進んできている。税理士業務のIT化は、コンピュータ 利用により、自動的に貸借対照表と損益計算書が作成できる等の利便性が増して税務と会計の全自動化が進んでいるオックスフォード大学マイケル・A・オズボーン博士の論文「未来の雇用」人工知能は本当に仕事を奪うのか:“10年後になくなる職業”税理士に聞く 生き残るための生存戦略 (1/2) 2016年03月09日 閲覧:2016.05.27。日本税理士会連合会会長神津信一は財界_(雑誌)(2022.2.22号,pp64⁻69)にて、デジタル技術の活用により多くの顧問先を得ることができるようになった点を指摘し、税理士が提供する付加価値の重要性を述べている。専門家間での競争は激化している。クラウド会計ソフト会社が税務調査対応のパッケージプランを開発する等、新しい技術の進歩が税理士の利便性を高め、より多くの顧客獲得に繋がっているといえる。
現在、民間企業における業務に関して、クラウド会計ソフトが普及している。2016年1月以降の行政手続における個人番号(マイナンバー)の利用なども税理士業務の更なる IT 化を後押ししている。2019年5月24日、行政手続の原則オンライン化を目的としたデジタル手続法内閣官房IT総合戦略室「デジタル手続法案について」2019年3月(閲覧:2019.6.5) が成立した。
令和7年以降、法人が電子申告をすることは当然となる。今後、国税庁が企業の税務調査でAIを効果的に活用していくため、税務と会計分野の全自動化は一段と加速化するといえる。
平成14年から広告が解禁された。
また、日本税理士会連合会が作成した税理士情報検索サイト税理士情報検索サイト において、日本税理士会連合会に登録された税理士/税理士法人につき、「主要取扱業種」「主要取扱業務」などの情報が公開されている。
税理士は、税理士試験にて企業結合の際の会計処理を学んでいる。税理士試験の出題分野というだけではなく、税理士となって実務についてからも、相続、事業承継、組織再編(企業買収)などの多岐にわたる場面で重要となる。
2001年(平成13年)の税理士法改正により、税理士事務所の法人化(税理士法人)が認められ、税理士は、開業税理士、社員税理士、補助税理士のいずれかの区分に分類されることになった。
以上4法人を一般に4大税理士法人という。母体である四大監査法人(あずさ、EY新日本、トーマツ、PwCあらた)や海外の四大会計事務所のネットワークと連携している。
4大税理士法人は、それぞれ大規模事務所として、東京・大阪・名古屋・福岡には必ず所在しており、どの4大税理士法人も500人を超える規模である(税理士法人トーマツだけは、これらの大都市圏以外の地方都市にも多く所在している)。
国税審議会は、財務省設置法21条に基づき設置されている審議会である。審議会は、委員二十人以内で組織する平成十二年政令第二百七十八号国税審議会令第二条。
税理士との関係では、国税審議会税理士分科会が、税理士の懲戒処分および税理士試験に関する事務を所掌している。
役職 |
---|
氏名 |
現職 |
会長 |
慶應義塾大学大学院法務研究科教授 |
会長代理 |
慶應義塾大学経済学部教授 |
税理士分科会は、国税審議会委員のうち、財務大臣が指名した委員で組織される。国税審議会の推薦に基づき、財務大臣が任命する試験委員および懲戒審査委員が設置されており、税理士の懲戒処分の審議を所掌事務とする。税理士の懲戒処分(後述)について、財務大臣の諮問に基づき審議する。
令和2年における国税審議会税理士分科会の構成は以下のとおりである[https://www.nta.go.jp/about/council/zeirishi/201210/95.htm 第95回 国税審議会税理士分科会の開催について(最終閲覧日:2021.4.1)]</ref>。役職 | 氏名 | 現職 | 出身校・その他 |
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会長 | 佐藤英明 (法学者) | 慶應義塾大学大学院法務研究科教授 | 東京大学法学部 |
会長代理 | 秋葉賢一 | 早稲田大学大学院会計研究科教授 | 横浜国立大学経営学部、公認会計士 |
委員 | 小川 令持 | 日本税理士会連合会相談役 | || |
委員 | 川北 力 | 損害保険料率算出機構副理事長 | 東京大学法学部、元国税庁長官、元一橋大学大学院法学研究科教授 |
委員 | 山田洋 (法学者) | 獨協大学法学部教授 | 博士(法学)一橋大学、元一橋大学法学部教授 |
- |
税理士の懲戒は税理士法の規定上財務大臣が担うが(同法第45条ないし第47条)、懲戒処分を行うに際しては国税審議会に諮り、その議決に基づいてしなければならない(同法第47条第4項)。
懲戒手続は、懲戒事由を認知した者が財務大臣に通知することで開始される。これらの者は、税理士名簿への登録を受けることによって「税理士」となり、税務を行うことができる(税理士法3条1項)。なお、税理士は公認会計士試験を受けるにあたり、公認会計士・監査審査会事務局の審査を受けることで公認会計士試験科目の一部免除を受け得る。
注)公認会計士は、公認会計士法第16条第1項に規定する実務補習団体等が実施する研修のうち、財務省令で定める税法に関する研修を修了した公認会計士になります(平成29年4月1日施行)
大学院において所定の課程を履修し、税法または会計分野における論文を執筆した者は、所定の審査を経て、対応する分野の税理士試験科目の免除を受けることができる。
かつては東京大学や慶應義塾大学の大学院博士課程研究者養成コース等を修了し、商学の修士号を取得すると会計関係の2科目が、法学の修士号を取得すると税法関係の3科目が免除された。よって大学院を2つ修了することで、無試験で資格を取得することができた(ダブルマスター)。昭和後期からは全国各地の私立大学等での大学院拡張政策に基づき、毎年数多くの免除者が誕生した。大学経営の観点から大量の入学者(留学生含む)を受け入れるなどの結果、学生間の学力水準にバラつきが生じた。しかも、修士号取得に当たっての研究内容は、会計学や税法学でなくてもよかった。これらの不都合性を解消するため、大学院教育の充実を図るとともに、厳密な免除審査等をおこなっている。
平成以降、社会人の学び直し等の観点から、大学院免除は積極的に奨励されている。税理士資格取得の際、国税従事者の免除制度と並び大学院免除方式が主流となっている。かつては、東京等にある大学院へ下宿して進学する資力がない者や学歴がない者の選択肢として、5科目合格(官報合格)を目指すしかなかった。今日では、学術振興政策の観点から、学力があり意欲があれば奨学金を受けられるなど含め、大学院進学の道が開かれている。かつては一部の税理士試験受験生の中に5科目官報合格することに独自の価値を見出す者もいた。しかし、試験勉強は資格取得が目的であり、資格取得手段に優劣は当然ない。そして、東京大学や慶應義塾大学等をはじめとする全国各地の大学院免除者は質量ともに充実している。そのため、官報に試験合格者の氏名を掲載する意味合いが乏しくなったため、制度が是正され、 令和6年度(第74回)試験から合格者の氏名が官報へ掲載されることはなくなった。専門職大学院における教育訓練給付金により専門実践教育訓練指定講座(専門職学位課程)について下記に事例を記載する。大学院名 |
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講座名 |
千葉商科大学大学院 |
会計ファイナンス研究科(会計プロフェッションコース) |
千葉商科大学大学院 |
会計ファイナンス研究科(税務プロフェッションコース) |
旧制高等商業学校時代には所定の課程を修了すれば計理士資格を無試験で取得することができた(旧制専門学校以上の学校で会計学を修得した者は無試験で計理士資格が認められた)。
「公認会計士特例試験等に関する法律」(昭和39年法律第123号)においては、昭和39年4月1日時点において,大蔵省に備える計理士名簿に登録を受け、かつ計理士業務を主として営む者は、税理士委員会の認定を受け、税理士の資格を取得できると規定されていた。
これにより、当時に限り、無試験で旧計理士資格を取得し、さらに無試験で税理士資格を取得することが可能であった。
日本税理士政治連盟は日本税理士政治連盟推薦議員という形式で与野党の国会議員を推薦している第25回参議院議員通常選挙における日本税理士政治連盟の推薦議員(閲覧:2022年1月23日)。