|門 = 裸子植物門
|亜門 = マツ亜門
|綱 = マツ綱
|亜綱 = マツ亜綱
|目 = マツ目
|科 = マツ科
|属 = マツ属
|種 = クロマツ
|学名 =
|和名 = クロマツ、オマツ
|シノニム = 33・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList) Pinus thunbergiana
}}
クロマツ(黒松、学名:)は、日本と韓国の海岸に自生するマツ属の1種である。別名はオマツ(雄松)。
和名クロマツの由来は、アカマツと比較して、幹の樹皮が黒褐色である松であることから名付けられている。マツ(松)の語源については、正確にはよくわかっていないが、樹齢を長く保つことから、「タモツ」から「モツ」、さらに「マツ」と転訛したという説や、冬に霜や雪を待っても何も変化がないので「待つ」から来ているとする説などが言われている。
針葉はアカマツより硬く、枝振りも太いことから、別名「雄松(オマツ)」や「男松(オトコマツ)」とも呼ばれる。}}
日本では本州、四国、九州に分布し、国外では朝鮮南部の島嶼から知られる。海岸に多く自生する、クロマツの大木は往々にして岩礁海岸の岩頭にある。北海道の海岸沿いや道路沿いにも植林されており、道南では北海道駒ヶ岳などで自生化が見られる。海岸の岩の上から砂浜海岸に広く見られ、特に砂浜のクロマツ林は白砂青松と呼ばれて景観として重視された。ただし、遷移の上では、砂地のクロマツ林は次第にタブ林などに置き換わるものと考えられている。クロマツ林は人為的管理によって維持されてきた面がある。
日本では海岸線への植樹が古くから行われ、本来の植生や分布はよくわからなくなっている。
樹高は35メートル (m)、目通り直径は2 mになり、高いものでは60 mに達することもあるが、自然の状態ではそこまで成長することはまれである。記録的な高さのクロマツとしては、「春日神社の松」(島根県隠岐郡布施村(現・隠岐の島町))の66 m、「緩木神社の松」(大分県竹田市。もと国の天然記念物)の60 m、「大日松」(茨城県大宮村(現・龍ケ崎市))の55 mなどがあったが、いずれも現存しない。
葉は濃い緑色をしていて太くて固く、針葉は二葉で、7 - 12センチメートル (cm) の長さで幅が1.5 - 2ミリメートル (mm)。球果は4 - 7 cmの長さである。樹皮は灰黒色で厚く、亀甲状に割れ目が入りはがれる。
クロマツとアカマツの交じっている林では稀に雑種(アイグロマツ)が生じる。
品種として、タギョウクロマツ f. 米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList) f. がある、
防風の機能を有する樹種(防風樹)として知られる。防風林のほか汚染と塩害に強いため砂防林・防砂林・防潮林や街路樹に使われる。いわゆる浜にある松原はクロマツで構成される。また、一般的な園芸用樹種であり、日本庭園の主木として用いられ、古来から盆栽用の樹種としても使われている。江戸時代の東海道をはじめとする旧街道沿いに並木として植えられた樹種の多くがクロマツであり、一里塚にもよく植えられた。
葉は精油を含み、その主な成分はピネーン、カンフェン、フェランドレン、ボルネオール、蝋質などを含む。松脂には、樹脂酸、ピネーン、カンフェン、フェランドレン、テルペンアルコールなどを含んでいる。精油は、内服すると大脳皮質を興奮させて血圧を高める働きがあるといわれ、外用すれば、局所の血管拡張や血液循環促進に役立つと言われている。
民間療法では、滋養保健、低血圧、不眠症、冷え症、食欲不振などに松葉酒を就寝前に盃1杯飲むと良いと言われている。松葉酒は、採取したばかりの新鮮なクロマツの葉をハカマ(葉の根元の褐色部)を除いて葉だけを刻み、35度の焼酎1リットルに松葉1キログラムの割合で漬け込んで、3か月冷暗所に保存してから松葉を取り除いてつくる。松葉酒が飲みにくい場合は、他の酒とカクテルにしたり、水で割って蜂蜜やレモン汁で味付けしても良い。また、疲労回復、肩こり、神経痛などに、松葉を袋に入れて浴湯料として風呂に入れる。
北米では、マツ材線虫病(カミキリを媒介者としたマツノザイセンチュウの寄生)のために、広い範囲で死滅している。続いて青変菌が侵入すると速やかに樹勢が衰え、枯死する。このマツノザイセンチュウは偶発的に日本へも侵入し、クロマツ林に打撃を与えている。新(梢)芽にマツノタマバエが産卵すると、新芽は茶色に枯れてしまう。2年から3年連続して寄生されると緑の葉はなくなり、やがては松林全体が茶色に変色し、枯れてしまう。発芽した苗も寄生されるので、松は完全に駆逐される。幼虫は新梢内に寄生するので、専門家でもマツ材線虫病との区別ができない。茶色に枯れた松の枝先を初夏に採集すれば容易に区別出来る。