熊本市
市との協働により市民が多彩な活動を展開した環境パートナーシップ組織
環境基本計画の実行組織として、熊本市で初めて誕生したパートナーシップ組織「エコパートナーくまもと」。 9つのワーキンググループが主体的に多彩な活動を市や事業者との協働によって展開した。
事例本文
2001年に策定された第2次熊本市
環境総合計画(以下、「第2次計画」という。)への
提言取りまとめに関わったメンバー有志によって、
市民・事業者・
行政などが一つの協力体制のもとで、それぞれの役割を果たしながら
地球
市民としての行動を推進していくことが重要であるとの声が上がった。
そのことから第2次計画の中に「
市民・事業者の参加と
協働のための推進体制の整備」が
盛り込まれ、2002年に「
環境パートナーシップくまもと
市民会議」
(通称「エコパートナーくまもと」)は設立された。
市として計画実施を担う初めての
パートナーシップ組織であり、
第2次計画の推進母体として位置づけられた。
2004年当時、個人会員141人、団体会員89を有し、
合意による公平な運営を図るために全会員の参加が可能な
「企画運営委員会」(年3〜4回の会議)と、
9つのワーキンググループリーダーで構成される
「リーダー会議」(月1回程度の会議)、そして各ワーキンググループ(以下、「WG」という。)
による主体的な話し合いによって活動が展開された。
市長をはじめ、関係部署職員なども会員登録を行い、総会などの各会議には、
事務局を務める市の担当者やWGに所属する職員も参加し、
意見を交わすなど市との
協働が図られた。
会議は通常業務終了後の19:00から市庁舎会議室で開催され、
多いときは会議数が月10回を超えた。
そのため、市は
環境企画課長ほか複数職員で対応。
WGの担当も決めて公平な対応にあたった。
活動は、WG事業、広報事業、市と共催の
環境フェアなど、年間を通して展開された。
特に、「エコ・フリー・マーケット」、「水と緑」、「
環境教育総合プロジェクト」、
「食と農・くらしと
環境」、「
自転車・
バス・電車が主役の
まちづくり」、
「広報エコパートナー」、「よかエネ部会」、「
グリーンコンシューマー」、
「ゴミなくし隊」とテーマによって9つに分かれるWGの活動を中心に、
ゴミ減量・リサイクル、水や緑の保全、
新エネルギーの普及、
公共交通機関の利用促進など、市の全般的な
環境保全に向けた多彩な事業が実施された。
また、
市民への普及啓発だけではなく、市の
環境関連諸計画づくりへの積極的な参加や
独自の調査、対話集会、円卓会議の開催などを通して
政策提言に取り組んだグループもあり、
市民と
行政の
協働のあり方や活動の評価基準、手法などについても
市民と市の双方で継続的な話し合いが行われた。
財源は、会費(個人1000円、団体5000円)と市からの活動
補助金(100万円程度)、
環境フェア開催に係る
委託料などで賄われており、事業計画と
予算配分に関しては、
全体事務局の
環境企画課および企画運営委員会リーダー・サブリーダーが
総合的コーディネートを行い、個々のWG活動に関しては、
WGメンバーと担当課(
環境保全局各課)職員との協議のうえで決定された。
また、第2次計画策定から10年が経ち、2011年3月に策定された第3次計画では、
2010年に制定された市
自治基本条例における「
協働」の定義や
第3次計画策定時の
市民検討会議の意見などを踏まえ、
「自立した組織として、
市民、
市民団体、事業者、市の4つの主体をつなぎ、
プロデュースやコーディネートを行う各主体の中間的な役割を担う支援組織」を
推進母体として位置づけることとなった。
そのため、事務局や活動資金の大部分を市が担っていたエコパートナーくまもとは、
第2次計画終了と共に推進母体としての役割を終えることとなった。
現在、市から独立した形で組織を再編し、活動を引き継いだグループや、
テーマを特化した組織を新たに設立して活動を始めたグループもあるなど、
市民団体の自立が促された。9年間にわたるエコパートナーくまもとの活動を通して、
市民も市も「
協働」のメリットや課題を
学習することができた。
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