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小水力発電(しょうすいりょくはつでん、Small hydro)とは、小規模な水力発電である。
マイクロ水力発電(マイクロすいりょくはつでん)、小規模水力発電ともいう。
区分 | 発電出力(kW) |
---|---|
大水力 (large hydro) | 100,000 以上 |
中水力 (medium hydro) | 10,000 - 100,000 |
(small hydro) | 1,000 - 10,000 |
ミニ水力 (mini hydro) | 100 - 1,000 |
マイクロ水力 (micro hydro) | 100以下 |
(Pico hydro) | 10以下 |
水力発電は過去100年以上の長い歴史を有しているために、技術上の課題はほぼ解決されており、自然環境への負荷が少なく、比較的少ない出費から行うことができる。ヨーロッパなどでは、水車で粉を挽いていた水車小屋が水力発電所に作り変えられたり、水車づくりのノウハウがある地域では水力発電装置の制作に活かすことができる。
また、東北小水力発電(秋田市)は豊田通商と連携し、トヨタ自動車のハイブリッド車(HV)「プリウス」のHVユニット(モーターやインバーターなど)を再利用し、制御コントローラーやモーターなどに活用し、低価格かつ高効率なシステムを発売することを発表している。600万円程度の価格を目指しており、プリウスの部品を使わない場合に比べて2分の1から3分の1となるとされ、比較的安価に制作することが可能であり、安定した電源として使うこともできる。
小水力発電は系統連系を行い、売電によって利益を生むことも可能である。
しかし、日本においては、複数の省庁によって様々な規制(特に河川法)が設けられるため、長年にわたりその普及が困難であった。2010年3月31日に総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会電力安全小委員会小型発電設備規制検討ワーキンググループがとりまとめた報告 などにより、経済産業省が所管する規制の一部または全部が不要となったものの、一定の規模を超えると、資格者の選任、保安規定による管理などの、規制が依然として残っており、規制によるコストがかかる。さらに、農水省所管の農業用水に関する規制、国土交通省所管の慣行水利権に係る水利使用の許可手続きなど、他の省庁の規制は依然として残っている。
(2015年1月になり農地用用排水路に設置する場合の規制緩和が行われた)。
小水力発電は、水流のある場所であれば設置が可能であるため、エネルギーの回収にも利用できる。
マイクロ水力やピコ水力など発電量の小さいものだと、工場・高層ビル・病院等には、張り巡らされた空調・用水・排水の高低差のある配管を利用し、その落下する水流によって羽根車を回転させ発電を行うことで、電力としてエネルギーを回収することも出来る。2014年現在、日本では1設備あたり9kWの能力のあるビル施設内での発電設備が実用化されている エネルギー回収システム(日立製作所) 。未開発の小水力発電の出力は約660万kw分あり、原発1基の出力を100万kWとすると原発6.6基分の出力が見込めることになる。
小水力発電の大きな特徴は設置場所にある。装置が比較的小さいため、ある程度の水量さえあれば設置が可能である。
重さわずか約13 kgで、人が肩にかけて持ち運ぶことが可能な水力発電装置も開発・販売されている
。
上記以外にも、様々な場所に設置が可能である。
山間部の傾斜地の側溝等の水が豊富に流れている場所でも、適した発電装置を選べば設置可能。
また生活排水の洗浄水で発電する製品も実用化されているアクアオート・エコ(発電タイプ) - TOTO。
水車のタイプは主に高低差で決定する。水車・発電用水車が詳しい。
日本で小水力発電所を運営している主体で一番多いのは、農家などがつくる「水土里(みどり)ネット」ともよばれる組織「土地改良区」である。この組織は土地改良事業の一環として用水路の管理をおこなっており、水を利用しやすい立場にあるため、「土地改良区」が管理する小水力発電が日本には多く存在する。その他の小水力発電の事業主体としては、都道府県や市町村などの行政もあり、各地の「企業局」もしくはそれに類する機関が、公営事業として小水力発電による電気を販売し利益を得ることも可能となっている。例えば、富山県南砺市のある小水力発電所では最大160kWの電力を発電し、それを売電することにより年間3000万円以上の利益を生むなど、規模は小さくとも地域にとって有益な存在となっている。また、近年ではすでに小水力発電を行っている行政機関が、小水力発電の普及を促すために技術指導など各種支援を行う取り組みも見られている。