多治見市
壊れたり使われなくなったりした食器をリサイクル 美濃Re食器
陶磁器産地である自治体の責任として、産官学連携で不用食器のリサイクルに取り組む。
全国の自治体、NPO、市民などから寄せられた不用食器を原料に「Re食器」として再生。
世界への広がりもみせる。
事例本文
陶磁器の食器は、
自治体で不燃ごみとして回収されるのが一般的である。
その量は不燃ごみの数%を占めると推測される。
不用
陶磁器は捨てるか骨董品になるかしか道がないと思われがちだが、
回収、再生、そして製品として流通するシステムが確立している。
市周辺は
美濃焼きの一大産地である。
1997年より「器から器へ」をコンセプトに不用食器のリサイクルを開始。
事業主体は産官学が連携して活動展開する「グリーンライフ21プロジェクト(GL21)」。
取り組みは、多方面から
補助金などの援助を受けて事業展開するとともに
エコプロダクツなどの展示会に出展、徐々に広がりを見せ、
今日ではコンセプトに賛同した全国の
NPO、
市民、
学校給食などから
不用食器が寄せられ、
行政回収も12か所(15
自治体)にのぼるようになった。
回収される食器(一般食器と
学校給食用との合計)は
年間約200トン(2010年実績)にもなる。
それらの食器を粗く粉砕した後、20%〜50%の割合で粘土などに混ぜ込み、
さらに約7ミクロンにまで粉砕し、
陶磁器・焼き物をつくる坏土(はいど)に再生する。
再生坏土を練った後、食器などを
ロクロや鋳込みで成形、
焼成して「Re食器」が生産される。
再生された食器は「美濃Re食器」と呼ばれることもある。
名前の由来は美濃焼の「美濃」、リサイクル・リプロダクションの「Re」をかけあわせ、
「実りの食器」とも読みかえられるようになっている。
なお、年間のメーカー出荷額は2.6億円(2010年実績。
リサイクルを謳わないリサイクル食器も含む)にのぼる。
「Re食器」の一部は日本初で食器でのエコマークを取得。
その他、グッドデザイン賞、現代日本デザイン100選、
愛・地球賞、
環境経営大賞の受賞、
新日本様式に選ばれるなど、
高い評価を受けたこともあり、日本
文化を代表する製品のひとつとして
世界各国で紹介されるようにまでになっている。
多治見市は、2010年12月1日から不用食器の回収および再
資源化のモデル事業として、
家庭で不用になった陶磁食器の
行政回収をはじめた。
このため粉砕業務をGL21へ事業
委託している。
毎月の各水曜日に市内の13
公民館のうち3〜4
公民館ずつ順番制で回収していたが、
このモデル事業は2012年3月末で終了し、4月から本格実施となるため、
市内約600か所のリサイクルステーションで3か月に1回の回収を始める。
今後の課題として
①回収量の増加
②回収した
陶磁器の再生工程における食器専用粉砕機の稼働率向上
③再生された食器の販売量向上
が挙げられる。
①のためには
行政回収の他に、回収者の負担を軽減でき、
誰もが気軽に回収活動に取り組める有価物(原料)としての
回収および流通システムの確立が必要になる。
また、そのためには作り手・売り手・使い手が公平に費用分担し、
回収とともに再生品の消費活用を進める循環システムも必須である。
③については、食器以外にも有効活用の方途を開拓していく必要がある。
自治体情報
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