陶磁器(とうじき、)は、セラミックの一種で、土を練り固め焼いて作ったものの総称。やきもの。
陶磁器は質感に優れており衛生的で一定の耐久性もあることから、食器、花器、植木鉢、装飾品、衛生陶器、タイルなどに利用されている。
陶磁器に使われる粘土には、加熱することでアルミニウムやカルシウムなど他の物質と化合しガラス化する珪酸を主成分とする石英などが含まれる。成形後に加熱することで、土粒子の間に溶けて流体となったガラスが入り込み、冷めると固体化し土粒子同士をくっつける。『古陶磁の科学』の著者・内藤匡は、この過程をおこしに喩えている。おおまかに言えば、陶器と磁器の違いはこのガラスになる成分と量の違いである竹内順一 監修『やきもの 見方・見分け方百科』主婦と生活社、1996年。ISBN 439160597X、p.170。
陶磁器を含めたセラミックの分類については研究者によって議論があり、窯業用語も国によって異なっている。
種別 | 焼成 | 釉薬 | 特徴 |
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土器 | 低火度(1000以下) | 無釉 | 軟質、土色、吸水性大 |
陶器 | 低中火度(1200以上) | 施釉 | 軟硬質、灰白色、吸水性あり |
炻器 | 高火度(1100〜1250) | 無釉 | 硬質、灰色、吸水性小 |
磁器 | 高火度(1350以上) | 施釉 | 硬質、白色、吸水性無 |
素焼きのやきもの。窯を使わず、粘土を野焼きの状態で700〜900セルシウス度の温度で焼いたもの。釉薬(うわぐすり、またはゆうやく)はかけないが、彩色されているものを「土器」と呼ぶことがあり、その場合は、その彩色具を釉薬としないことを前提としている。歴史的には陶磁器の前身にあたる。
カオリナイト(カオリン)やモンモリロナイトを多く含んだ粘土を原料とし、窯で1100〜1300の温度で焼いたもの。釉薬を用いる。透光性はないが、吸水性がある。厚手で重く、叩いたときの音も鈍い。粗陶器と精陶器に分けられる。
せっきと読む。「炻」は国字(日本で考案された漢字)。英語の"Stoneware"の訳語である。窯を使い、焼成温度は1200〜1300。土器と陶器の中間的性質を示すもので、釉薬の有無にかかわらず、透光性・吸水性ともにないものを指す。
炻器の原語である"Stoneware"は西洋陶磁の用語であり、中国、日本などの東洋陶磁の分類概念とは必ずしも一致しない。たとえば、"Celadon"と呼ばれる青色の焼き物は、日本・中国では青磁(青瓷)と言い、磁器に分類されるが、欧米では"Stoneware"の一種とみなされる。日本の陶磁研究者や陶芸作家には「炻器」という概念を立てる者と立てない者がいる矢部良明編『角川日本陶磁大辞典』(角川書店、2002)の「炻器」の項による。。
磁器は半透光性で、吸水性が殆どない。また、陶磁器の中では最も硬く、軽く弾くと金属音がする。粘土質物や石英、長石→陶土を原料として1300程度で焼成するが、焼成温度や原料によって軟質磁器と硬質磁器に分けられる。
陶磁器は陶器など多孔質の素地で吸水性のあるものと、炻器(せっき)や磁器などの素地で吸水性が低いものに分けられる。多孔質の素地の製品には食器、タイル、植木鉢などがある。また、緻密質の素地の製品には食器、タイル、装飾品、衛生陶器、工業用及び電気用磁器、歯科用磁器などがある。
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畿内より東では瀬戸物(せともの)と呼ばれ、中国、四国以西では唐津物(からつもの)とも呼ばれる。焼き方や用途や生産地などから数多く分類される。岐阜県土岐市が生産量日本一である。
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