氷川町
住民との交流拠点であるまちづくり情報銀行を核とした、住民総ぐるみによるまちづくり総合計画の策定
3年を費やし、全体会66回、小委員会219回、地区会議100回を経て、文字通り住民総ぐるみの総合計画を策定。述べ5800人が参加したワークショップを通してまちづくりの担い手も育った。
事例本文
今でこそ
住民参画を謳った
自治体計画づくりが普及しているが、
10年前に人口5000人の小規模
自治体である宮原町が、
3年をかけて、職員全員も関わりながら全体会66回、小委員会219回もの会議を経て
策定した
まちづくり総合計画は、文字通りの住民総ぐるみで策定した計画であり、
その先駆性と徹底した住民参加の仕組みづくりに私たちは目を見張った。
宮原町は、住民総参加の
まちづくりを進めるための計画策定に先立ち、
住民との日常的な交流拠点として、
1995年に、役場前にあった旧銀行の瀟洒な建物を購入し
「
まちづくり情報銀行」(以下MIB)を開設し、
まちづくりの要である企画調整課が入居した。
銀行と名づけた理由は、町は住民の声を「情報」として貯蓄し、
計画書という「
利子」を払うという発想に基づいている。
情報銀行にはエプロン姿の主婦や学校帰りの小中学生らが立ち寄り、
職員と気軽に声を交わし、手づくりの地区活動ポスターなどが掲示されていた。
また、大学生など町外からの来訪者も多く、住民の生き生きとした情報と
様々な世代が集まる交流拠点としての機能を果たし、アットホームな雰囲気が漂っていた。
町は、MIBを「本店」、地区を「支店」と位置づけて、
全14地区に設置された支店活動を中心とした
まちづくりを
確実に展開するための
総合計画策定に取り組んだ。
MIB開設に先立ち、まず職員の意識改革のために全職員60名を対象に
ワークショップを実施し、
住民参画による
まちづくりの理念と方向性をしっかりと確認した。
その後、町内各地区へ職員が出向き、住民からの情報を得て地区の
資源や課題をまとめあげた。
さらに20名の職員有志による計画策定支援グループ「
MMF」を組織し、
多様な機能・役割を持たせた。また、
ワークショップに参加し情報を預けた町民には
MIB会員証を発行。その数は1200枚にも達した。
MIBは、情報収集、課題検討、
合意形成に向け3年間で
「イベント型」と「継続型」の320回、述べ参加者5800人の
ワークショップを実施し、
この過程でより積極的な
まちづくりの担い手が育った。
地区である「支店」は、14地区(
行政区)すべてから5〜7名の
まちづくり推進員が推薦され町長が委嘱した。
町は43名の地区担当職員を配置し、各支店活動を支援した。
支店長会議には、まとめ役として各支店で選任された「支店長」と、
顧問である区長が参加し、最終的には、地区住民全員を対象とした
「地区会議」を経て地区計画がまとめられた。
計画策定に住民・
行政など11の組織が関わり、
地区会議開催は100回を超え、会議の結果は全世帯に配布された。
まさに住民総ぐるみで策定された
まちづくり総合計画である。
総合計画策定の理念は、町内全域が
開発行為規制の対象となった
「宮原町土地利用調整基本計画」(1999年策定)や、
「宮原町を守り磨き上げる
まちづくり条例」にも生かされた。
2005年に竜北町と合併して誕生した氷川町は
「町づくり、人づくり、心づくり推進特区」として
構造改革特区の認定を受け、
宮原町
総合計画の住民参加による
まちづくりの理念が引き継がれている。
関連記事
自治体情報
関連URL