津山市
「画に描いた餅」にしない!市民参画で環境まちづくりのビジョン実現をめざす
本格的な市民参画で作成された環境基本計画と環境基本条例を持つ津山市。市役所の外に事務所を持つパートナーシップ組織が結成され、現在も活発に活動が行われている。
事例本文
環境基本計画策定や
条例制定における
市民参画は全国的に広がってきたが、
実施段階であまりうまくいっていない例が見受けられる。
しかし、それらを本格的な
市民参画でつくりあげた津山市では、
パートナーシップ組織「エコネットワーク津山」が立ち上がり、計画実践を着実に進めている。
津山市は
環境基本計画の策定を公募した40人の
「つやま
環境市民委員会」とともに行った(策定は2001年度および翌年)。
2001年度は
環境基本計画原案にあたる「
市民提案」を作成。
環境NGO
環境市民をコーディネーターとして招き、
年度の前半はテーマごとの
学習ディスカッションとフィールドワーク、
後半は「
まちづくり」「ひとづくり」「自然の保全と再生」の3部会に分かれて、
課題の整理、プロジェクトづくり、ビジョンづくりを行った。
市役所が予め原案を用意せず、
市民委員会がコーディネーターと市と共に
一から作成した点が特徴である。
全体で約140回の会議やフィールドワークを重ね、
時間をかけて丁寧に作られたことも素晴らしい。
その成果は
市民委員会主催の発表会という形をとって、
市民に向けて提案された。
2002年度は並行して
環境基本条例も制定。
市民委員会が報告した「私たちの津山、未来へつなぐ
環境基本条例市民提案」が元となった。
この
市民提案そのものが
条例となり得る内容であり、報告から制定までの約4ヶ月間は
NPO のコーディネート協力により、市と
市民委員会が協議しながら、
文字通り
市民参画で作りあげた。
全国でも先駆的な取り組みといえるだろう。
環境基本計画推進組織として、2003年5月には、
市民委員会と、
リユースプラザ津山「くるくる」を拠点に活動していた「エコネット津山」が手を組み、
パートナーシップ組織「エコネットワーク津山」を結成。
事務所を市役所の外に置き、専従スタッフもいる(2009年1月には
NPO法人を取得)。
計画に記載された『みんなで学ぼう温暖化対策プロジェクト』では、
「
環境学習出前講座」、「森の学校」、「水の学校」などの
環境学習が実施され、
『車の使い方見直しプロジェクト』では、関係団体と
協働しての
エコドライブ講習会が開催されるなど、プロジェクトも進んでいる。
環境基本計画は2005年に合併した新津山市の実情にあわせるため
2007年3月に改訂されたが、その際も
市民と
協働で取りまとめを行い、
協働によって取り組む事業として「自然体験プロジェクト」、
「
地球温暖化対策プロジェクト」、「
環境教育プログラムの作成実施」などの
7つのリーディングプロジェクトが定められた。
時間と手間をかけて作られた計画や
条例は、
市民にとって愛着と責任を感じるものとなっているという。
何よりそこで築かれた市と
市民の関係、また
市民同士の人間関係が、
計画推進の原動力となり、その後の広がりに繋がっていると思われる。
今後も息の長い活動として、描いたビジョンに向けて
環境の
まちづくりを進めていってほしい。
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