飯田市
議会主導の自治基本条例の制定
自治体の憲法ともいえる自治基本条例を、「議会」が中心となって、市民とともに制定した、全国でも珍しい取り組みである。
事例本文
自分たちのまちは自分たちでつくっていくという、地域主権的な考えが広まりを見せている。
そんな中、2000年に
地方分権一括法が制定されたことをきっかけに飯田市
議会では、
より
市民に開かれた、活動する
議会、
政策提言できる
議会をめざすことを
目標に掲げた。
まずは超党派による「
議会在り方研究会」を2002年に設置し、現状の課題の抽出に努めた。
この研究と議論を通じて、改めて
行政のあり方や住民との関わりについても
明確にしていく必要性を認識したことから、
自治基本条例を
議会の発案で制定することになった。
自治の担い手である
市民、その代表たる
議会、そして
行政。
これらの主体が手を携えて
条例制定にのぞむべきであると考えたことから、
議会がその付属機関として「
市民会議」を設置。
この会議では
条例制定に向けた研究を行い、
議会に
自治基本条例の骨子となる答申書を提出した。
議会では、それをもとに
条例の基本理念をまとめた上で素案作りを行った。
市長に内容検討を依頼すると同時に市内全地区への
条例素案の説明会を
2回にわたり開催し、議員自らが説明を行った。
市
議会議員で当時
自治基本条例特別委員会委員長を務めた、
中島武津雄さんは、
条例制定の成果について次のように話す。
「
議会の方から
市民に飛び込んでいかなければならないという経験をさせてもらった。度胸がついた。
この過程を踏んだこと自体が
自治条例そのものの精神を体現している。
こういうやり方をすればいいんだとわかった。」
こうして4 年の歳月をかけて2006年に
条例は制定された。
制度的には本来あるべきスタイルを踏んだわけであるが、まだまだ
議会発案の立法は多くないが現状であり、
議会自らが汗をかき、自身の知識を深め、
自治体の
憲法たる
自治基本条例を制定した
数少ない取り組みとして注目に値する。
その後、制定から5年が経過した、2011年1月、
条例中の
議会の役割について検証するため、
「
自治基本条例検証会議」を立ち上げ、検討を重ねてきた。
これを受けて「
議会活動を
市民に見えるようにしていく」ための実現方策の検討を目的とした任意組織である
「
議会制度検討委員会」を2011年9月に設置し、活動中である。
2012年3月には検討の成果を「
議会運営ビジョン」としてとりまとめ、公表する予定である。
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