PTA

日本におけるPTA(ピーティーエー、)とは、各学校組織された、保護者と教職員(児童を含まない)による社会教育関係団体のことである1954年第二次参考規約第3条が「父母と教員とが協力して、家庭と学校と社会における児童・青少年の幸福な成長をはかることを目的」とすることから,児童・生徒は、PTA会員ではない。みな等しく活動の支援対象である。任意加入の団体であり、結成や加入を義務付ける法的根拠は無く、全ての児童生徒のためのボランティア活動というのが本来のあり方である。

この項目では、各学校のPTA(単位PTAメディア等で単に「PTA」と記述される場合、それが単位PTAを指すのか、PTA連合体を指すのか、包括概念であるのかは、判別がつき難いケースがあるので注意を要する。と呼称される)について主に記述する。単位PTAが協働するために集まった、市町村都道府県・全国の各レベルに存在するPTA連合体(PTA連合会)の詳細については、日本PTA全国協議会全国高等学校PTA連合会の項目を参照。

名称

PTAの名称は、学校に通う子どもの保護者と教職員からなる団体(アソシエーション(Association)とは、共通の関心で結びつく集団のことであり、対語はコミュニティである。)であることから、各語の頭文字を取ったものである。

PTA及び類似の団体について、昭和20年代に用いられた名称としては「父母と先生の会」がある。これは、当時の文部省(現在の文部科学省)が発した通達「父母と先生の会」参考規約送付について(文部省社会教育局長発、都道府県教育委員会宛、昭和23年12月1日、発社302)に基づく名称である。その他にも、「親と教師の会」「保護者と教職員の会」、あるいは「育友会(いくゆうかい)」など、学校ごとに様々な名称が付されることもある例えば、志摩市立磯部小学校では「愛育会」と称する。各学校のPTAの名称は、各学校のPTAごとの規約により定められる。

なお、これまでの教職員・保護者による組織から発展させる意味で、PTAにC「地域社会」を加えたと称するところもある。

また、2010年(平成22年)に公布され、翌年施行されたPTA・青少年教育団体共済法の2条1項には「PTA」の定義がある。

本条項の定義による「PTA」には、単位PTAとPTA連合体の両者を含む。

沿革

PTAは、1897年アメリカ合衆国で2人の女性により自発的に結成された

明治時代に日本に近代的学校制度が導入された際、各学校(特に小学校)の設立・維持の経費は、地方住民の負担によることを原則とした。その後、学校経費は、主に町村費の負担とされていったが、学校予算は必ずしも潤沢ではなかった。そこで、学校運営にかかる金銭的・労務的負担を軽減するため、学校に通う児童・生徒の保護者や学区の住民によって、学校を支援する任意団体も多く結成された。これらの団体は、「後援会」や「保護者会」、「母の会」と呼ばれる少なくとも大阪では、ひとつの学校に2つの学校支援団体が組織されており、男女別の組織であった(GHQ資料 Social Education - PTA's。これらの団体は、学校の経済的支援をもっぱらとし、教育活動に関わることはほとんどなかった。

昭和10年代以降、戦争の激化とその後の混乱の影響で、保護者たちによる団体の活動は一時停滞した。しかし、終戦後には荒廃した学校や教育を支える団体の活動が再び始められ、後のPTAの精神を先取りするような活動や運動も各地で試みられた典型例を挙げると、横須賀市立諏訪小学校の「母の会」による保育園の設立・運営や鹿児島県日置小学校の村人全員を網羅する教育後援会がある。これらには、コミュニティスクールの萌芽をみてとれる。

1946年(昭和21年)の春、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)の要請によりアメリカ合衆国から派遣された教育使節団が作成した報告書、アメリカ教育使節団報告書(第一次報告書)が発表された。同報告書では、PTAに直接言及はないものの、いくつかの箇所でPTAの理念に及ぶ考え方が示された。また、1947年(昭和22年)4月には、極東委員会も「日本教育制度改革に関する指令」を定め、PTAが民主主義教育推進のために積極的な役割を果たすことを期待し、勧奨した。GHQは、これらの基本方針を元に、総司令部の民間情報教育局(CIE)と地方軍政部が担当して、全国の学校へのPTA(父母と先生の会)の設置を奨励・推進した。実際の事務を担った文部省は省内に「父母と先生の会委員会」を設置して審議研究を進め、同委員会は「父母と先生の会‐教育民主化のために‐」と題するPTA結成の手引き書を作成した。1947年(昭和22年)3月、この手引き書は、文部事務次官名で全国都道府県知事にあてて通達された。通達が出された翌年の1948年(昭和23年)4月には、全国の小・中学校のPTA設置状況は7割を超えた1948年(昭和23年)3月には、『〔父母と先生の会〕参考規約(案)』(第一次参考規約とも呼ばれる)が文部省社会教育局社会教育課から出され、1954年(昭和29年)2月には、『小学校〔父母と先生の会〕(PTA)第二次参考規約』が文部省父母と先生の会分科審議会から出された。なお、戦前から存在した各学校の「後援会」などは、あるいはPTAに看板を変え、あるいは地域住民を交えた団体としてPTAとは別組織として存続した。

1952年(昭和27年)10月、東京で「日本父母と先生の会全国団体結成大会」が開かれ、PTAの全国団体が結成された参加資格は各都道府県と6大都市の協議会とされた。日本PTA全国協議会参照。

理念と目的

保護者と教員が学びあうことで教養を高め、成果を家庭・学校・地域に還元すること。児童生徒の健全な発達に寄与すること。

同時に、民主的な方法で運営するという設計思想があり、PTAは民主主義の演習の場であるという側面を併せ持つ

寄付金を集めたり、教職員を金銭的に支援することなどは、日本のPTA設立当時本来の理念にはなかった。戦後復興のため、やむなく行われた措置である。それゆえ、PTAの「後援会機能」は「従」の位置に属する『PTA読本』(文部省内PTA研究会、時事通信社共編1948)。この点は時代を経るにつれ、問題点が整理され、文部科学省よりガイドラインが通知されるに至った学校関係団体が実施する事業に係る兼職兼業等の取扱い及び学校における会計処理の適正化についての留意事項等について(通知)2012年5月9日

PTAの基本

PTAは民である。官ではなく、学校でもない。教育を本旨とした団体であり、営利を目的としてはいけない。

民主主義の原則にのっとり、自らのあり方を自らで決定していく。発案は会員ならだれでもよく、意思決定の際には、合議を重ねていくのが原則である。活動にあたっては、活動計画、予算決算、新役員、規約改正、議案その他の承認を、年度初めの総会で行うのが通常である。運営にあたっては、コンプライアンスが求められる。なお、コンプライアンスとは、ここでは「法律や倫理などの要求に『従うこと』」「コンプライアンス」三省堂辞書サイトとする。類似組織に特定非営利活動法人(NPO法人)、生活協同組合がある。

児童生徒は会員ではない。彼らはひとしく支援対象である。

PTAの法的問題は通常,PTA,学校,保護者及び児童の三当事者の問題となっている。PTAと学校とは別団体であるため,公的機関が私的団体を支援するような構造となり,憲法をはじめ,個人情報保護などの公法上の規律に服する。PTAと保護者とは私人同士の関係にすぎないが,PTAが消費者契約法第2条第2項の「その他の団体」に該当する「逐条解説 消費者契約法」内閣府2002年29頁は「P.T.A.」を明記している。ので,PTAによる加入の勧誘や,PTAが未加入の保護者との間で契約を締結する場合には消費者契約法が適用される。学校と保護者ないしその保護下の生徒とは一般の在学関係にあり,学校がPTA会員の子どもと非会員の子どもを差別的に扱うことは,憲法14条1項の平等原則の問題になる。

公立の学校教育は、地方分権、教育分権にもとづくものである。地方によって財政事情、教育委員会の見解、学校長の見解、風土、住民気質等はことなるので、その特色により、PTAの活動内容は左右される。PTAは地域差の大きいものである。

法的位置づけ

根拠法

PTAの結成・加入を義務付ける法律の規定は存在しない。通常の単位PTAには、法人格はない。

日本国憲法第21条において、国民は誰しも自由に結社をすることが保障されている。このため、国民は誰でも希望すれば、「任意加入の団体」としてのPTAを結成・解散および参加・脱退することができる。同条により、さらに、PTAは、PTA連合体に加盟・脱退することができる。官公庁に問い合わせるとPTAは社会教育法の第三章「社会教育関係団体」にあたるとの回答を得られるが、同法には「PTA」や旧称である「父母と先生の会」という文字は存在しない。1948年の社会教育局長通牒「地方における社会教育団体の組織について」では、社会教育関係団体への官公庁からのノー・サポート、ノーコントロールの原則が示された。この原則は、1947年に制定された社会教育法http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S24/S24HO207.html</ref>に取り入れられており、社会教育関係団体としてのPTAの活動の自主性が確保されている<ref>『学制百年史』文部科学省、1981年

現行の社会教育法第2条は「社会教育」を「主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動(体育及びレクリエーションの活動を含む。)をいう」と定義しており,同法第44条第1項は教育委員会は「学校教育上支障がないと認める限り、その管理する学校の施設を社会教育のために利用に供するように努めなければならない」とするため,PTAが社会教育を行う団体である性格を維持する限り,教育行政上優遇される。

現在では,学校のPTA室を無償で確保でき、学校諸設備を活動に使用できるのは、学校施設令(学校施設の確保に関する政令)第3条第1項第2号の許可に基づくものである。同条第2項により許可に当たり「他の法令の規定に従わなければならない」とされ,ここでいう「他の法令の規定」とは,最高裁判所平成18年2月7日第三小法廷判決(民集60巻2号401頁http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52387)により地方自治法第238条の4第4項(現行法では第7項)及び学校教育法第85条(現行法では第137条)となる。学校教育法第137条で「社会教育その他公共のため」と明文化されているため,PTAが社会教育を行わず公共性を失った場合,学校内で活動したり施設を無償で使用したりする法的根拠が失われる。

PTAが,ある保護者が入会しないことを理由に、その子どもを「登校班に入れない」「行事に参加できない」「配布物をわたさない」などと差別することは,社会に非難されるが,PTAが単なる私的団体であるから会員の子どもと非会員の子どもを区別することは事実上可能である。特に学校の外で行う活動について,社会教育法第12条は国や自治体に社会教育関連団体の「事業に干渉を加えてはならない」と命令するため,学校側はPTAに対し指導することが禁じられる。しかし,PTAが学校教育法第137条の「社会教育その他公共のため」の基準に明白に充たさなくなる場合,学校内でPTAが優遇される法的根拠がなくなる。この場合,施設使用の許可が撤回されうる地方教育行政の組織及び運営に関する法律http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S31/S31HO162.html第21条第7号により,許可・撤回権は地方自治体に設置される教育委員会にある。したがって,教育委員会は使用許可をせず,既になされた許可決定を撤回することになる。。また,公共性のないPTAによる学校施設の無償利用は,地方自治体の違法な財産管理行為として住民訴訟で問うことができる。PTAによる学校施設の一時使用(PTA室など長期の使用に関する訴訟はまだない)をめぐる住民訴訟において,教育委員会による一時使用の許可の適否を争うことができず(訴え却下),使用料減免の決定の適否のみを争うことができる。(参考となる判例は,杉並区立和田中学校の地域本部に関する夜スベ訴訟である。判例タイムズ1370号に詳細がある。)

規約・細則の法的位置づけ

文部科学省職員執筆の書籍『文部科学省若手職員が学校管理職の疑問に答える 現代的学校マネジメントの法的論点-厳選10講』第一法規(2011)より引用する。

「任意加入の団体」であるPTAが制定する規約・細則は、あくまで団体内部のみに通用するルールである。

規約・細則を運用する際には、上位法である社会教育法教育基本法日本国憲法、また地方公共団体の制定する子どもの権利条約等の理念を理解したうえで行うべきである。ましてや上位法等をはずれた慣習を勝手に制定するべきではない。

司法判断

熊本県で、PTAを相手にした裁判が2014年初夏に起こされた(熊本PTA裁判)。原告は被告PTAに対して、同意書や契約書なしに強制加入させられたうえ退会届が受理されなかったことを訴え、会費などの損害賠償を求めた。2016年2月25日、熊本地裁は原告の訴えを棄却。原告は控訴した。

2017年2月10日、福岡高裁にて熊本PTA裁判は和解した。双方が合意した和解条項には、下記がある

個人情報保護法とPTA

2017年5月30日、改正個人情報保護法(2016年12月20日に閣議決定された)が全面施行される。改正法の施行により、PTAも個人情報保護法のルールに沿った個人情報の取扱いが求められることとなる

PTAが個人情報を扱う際に守るべきポイントはいくつもあるが、代表的なものを次にあげる。個人情報の利用目的を明確にする。個人情報を取得する際は、利用目的を本人に知らせる。偽りその他不正な手段によって個人情報を取得してはならない。病歴等の要配慮個人情報を収集してはならない。個人情報を本人の同意を得ないで第三者に提供してはならない。個人情報を第三者に提供するときは、記録を厳密につける

組織

単位PTA

日本では、単位PTAと呼ばれる学校単位でのPTA活動が基本である。

会員

PTA(親と先生の会)という名称通り、会の事務局を置く学校に児童生徒を通学させる親(保護者)教師が会員である小学校「父母と先生の会」(PTA)第二次参考規約(1954)。また、地域の人が会員になるケースがある。これについては、所属するPTAの規約を各自で参照されたい。

児童生徒は、会員ではない。彼らはみなひとしくPTA活動の支援対象である。

PTA連合体

単位PTAのうち、学区内のPTAがある単位ごとに組織され、市区町村単位のPTA連合体を形成する。オブザーバーとして教育委員会がつくようである。

市区町村単位のPTA連合が組織され、都道府県のPTA連合(協議会とも称する)を形成する。東京都のように、加入率が30%前後のPTA連合もある教育ルネサンス PTA再考「作らない」も選択肢(2008年4月2日 読売新聞)

日本には、小・中学校を対象とした全国組織の公益社団法人日本PTA全国協議会(通称、日P)が存在し、北海道、東北、東京、関東、東海・北陸、近畿、中国、四国、九州の9つのブロックに分かれている。なお、政令市の中には、都道府県単位のPTA連合には属さずに、直接、日Pに属するものもある。しかしすべてのPTAが日Pに属しているわけではない。日Pに属さず独立して活動していてもPTAを名乗れる点が、アメリカ組織との違いである。

また、高等学校を対象とした組織として、一般社団法人全国高等学校PTA連合会(通称、高P連)が存在している。

なお、国立学校、私立学校は、独自のPTAを組織している模様である。PTAとは称さず、「○○の会」や「○○校保護者の会」といった名称のところがあり、公立学校のPTAとは一線を画す活動内容であるそうだ。

地方行政によるPTAの位置づけ例

世田谷区のように、PTAを家庭教育への支援と位置づけ世田谷区教育ビジョン第2期行動計画 第2部前半(PDF参照)(2008年3月)教育委員会が委託金を各PTAへ渡して最低でも年4回の研修会を開催させたり、区のPTA連合体で研修を設ける自治体がある。

なお、杉並区立和田中学校藤原和博、代田昭久)のように、公立学校でPTA自体を廃止し、地域のボランティアの住民でつくる「地域本部」に統合しようとする動きがあるPTA:杉並区立和田中が廃止 地域全体で支える仕組みに - 毎日jp(毎日新聞)(2008年3月23日 毎日新聞)

活動例

PTAを本来のボランティア・生涯学習団体(社会教育関係団体)として捉え直し、サークル活動や、固定した定員を設けず参加希望者だけで活動する委員会(委員会とは呼ばず、広報ボランティア、家庭教育ボランティアなどと称する)での活動を、中心に据えるようになった単位PTAが存在する。

近年の傾向

近年の傾向としては、PTAが本当に必要かどうか、あるいは、PTAのあり方を整理すべきでは、という議論が起こっている。

2007年より、PTAが本来、自由に入退会できる任意加入の団体であることを周知徹底することで、会の正常化をはかるべきとの声も聞かれるようになった加筆ありの書籍版、

2008年(平成20年)から現在に掛けて、インターネットでのPTAに関する議論が充実してきている。ネット上のみならず有志が東京大学構内でシンポジウムを開いている(2010年8月)

報道関係では2012年(平成24年)に入り、PTA問題を体系的に取り上げる新聞社が出ている2015年、社会問題を読者と一緒に議論する場を朝日新聞紙面と公式サイト上に設け、PTAをテーマに据える記事が出た。このウェブアンケート結果は公開されており、個人のPTAに関する考えを属性別に閲覧することができる。同年春以降、PTA報道が多数取り上げられており、春の風物詩となりつつある。

2016年(平成28年)3月25日、首相官邸で開かれた「1億総活躍国民会議」にて、民間議員として出席したタレントの菊池桃子が、働く女性にとってPTA活動が負担であることとPTAの任意性の意味について発言した

行政の対応

2010年2月11日、NPO法人教育支援協会が文部科学省委託事業の一環として開催したシンポジウムで、PTAのあり方が議論された。この席で元文科省官僚寺脇研により、PTAは任意ということが明言され、文科省官僚神代 浩により教育委員会と校長に対してPTAは任意加入だということを広める約束がされた。このときの様子は新聞報道された

これをうけ、2010年4月26日に、PTAが任意加入の団体であることを前提に優良PTAの推薦にあたるよう、各都道府県教育委員会宛に文科省から事務連絡がなされた

2012年8月、第60回日本PTA全国研究大会 京都大会において、文部科学大臣平野博文が私費会計のあり方について祝辞の中で以下のように言及した

2014年7月14日、大分県杵築市教育委員会が各園・小・中学校長宛に「PTAへの入会の意思確認及び個人情報の提供について(依頼)」という通達を出した。これにより、PTAへの入会に伴う意思確認と、個人情報提供(名簿流用問題)へのガイドラインが明確に示されたこととなる。

2016年5月24日、滋賀県大津市教育委員会が、同委員会校園長会で、学校園長向けに事務連絡を出した。下記は抜粋である。1)においては事務委任契約書のひな形が提示され、4)においてはPTA会費徴収は入会意思の確認をしたうえでおこなうよう指針がでた。

2017年1月31日、愛知県刈谷市が、同市ウェブサイトでPTA加入の任意性と個人情報の扱いについて見解を出した

「PTA問題」

PTAは任意で結成し解散でき、参加・脱退は個人の意思に任される団体のはずである。つまり、PTA活動は義務ではない。しかし、これがあたかも義務であるかのような誤解がある。2015年4月-5月に行われた朝日新聞アンケートにおいて、「PTAに改善してほしいところは?」の設問の回答「全員加入が当たり前のこと」が、43.2%に上っている(複数回答可、母数2104回答)

社会的背景

強制加入(自動加入)の問題

「保護者を会員とする」という規約を定めて、入会申込書は大抵の場合存在しない。退会申込書も大抵の場合存在しない。子の入学直後に保護者からいきなり役員委員を決めるケースが存在する。これらについて「結社しない自由」を侵すもので違法であるとの意見がある。これからのPTA運営にあたっては、会員となる人に、規約細則や活動内容等の資料を配布し充分な事前説明をしたうえで、書面(入会申込書)による同意を得ることが必須となる。この手続きを重視することは会員の自覚・自発性をうながし、PTA活動への理解度向上やモチベーション向上、「やらされ感」の払拭、ひいては活動の活性化が期待できる。

会費抱き合わせ徴収の問題

学校と混同する問題

PTAは学校施設を使用して活動する。活動内容には、学校行事の手伝いや環境整備が含まれる。会費抱き合わせ徴収の問題がある。

PTAは学校とは別個の団体であることを、再確認しておく。PTAの根拠法は存在しないが、学校の設立根拠は学校教育法である。

コンプライアンス欠如の問題

PTA活動の理念・運営の基本・法的位置づけをしらないまま、活動を細切れにして「仕事」として前年踏襲していった結果、発生していると推測される。

名簿流用問題

大抵の場合、会員名簿は、学校から提供された児童名簿を充てている。法律上では非会員保護者の同意無しに個人情報を第三者に提供してはいないという判例が出されている大きな慣性に逆らって――父親たちの語るPTA 川端裕人×木村草太 シノドス (2014年4月)

理念の理解不足の問題

財政的な問題

PTAが会費や事業収入等を学校へ寄付する問題がある。
その背景要因として、戦後の貧しい予算、また現在はOECD諸外国より低い教育予算『図表でみる教育 OECDインディケータ(2011年版)』文部科学省編 を補完するために、金銭的または人的支援が暗に求められてきた(前述『PTA読本』)。

私費会計であるPTA会費を学校運営に流用することは、法令で保障された「教育の機会均等と義務教育費負担の原則義務教育費国庫負担制度の概要(文部科学省)を害する。このため、第二次世界大戦後は、PTAが教員の給金を補填していた時代もあった(前述『PTA読本』)が、徐々に是正され、自治体によっては「義務教育における私費負担の解消について」PTA費、学校運営に流用 12府県市の監査で改善要求(2012.5.10朝日新聞)

PTA会費の法律規定外寄付問題

2012年、公立学校においてPTA会費が流用され、教職員の人件費や校舎の修繕費などに流用されている実態が明るみに出、報道が多数相次いでいるPTA会費流用、29都府県で…読売新聞調べ 読売新聞 2012年7月1日

2012年5月9日、文部科学省がこの流用問題について調査を開始したPTA費、学校運営に流用 12府県市の監査で改善要求 - 朝日新聞デジタル(朝日新聞) (2012年5月10日)。2013年1月29日現在、文科省サイトにて結果PTA等学校関係団体が実施する事業に係る兼職兼業等の取扱い及び学校における会計処理の適正化についての点検・調査結果についてが確認できる。その概要は「PTA等学校関係団体が実施する事業に係る兼職兼業等の取扱い及び学校における会計処理の適正化について調査しましたので、その結果について公表します。」とあり、詳しくは外部リンク・その中のPDF文書を参照されたい。

PTA会費を学校運営に流用する背景には、教育予算に地方格差が反映されるという現状がある義務教育費国庫負担制度の概要(文部科学省)。地方自治体が学校に教育予算を執行し、実際にかかった費用の一定割合を、国が負担する仕組みである。なお、下記報告書によると、文部科学省としては「学校の管理経費(職員の人件費は除く)については、割り当てて
強制的に徴収するのではなく、PTA等学校関係団体等が真に任意に経費の支援を行うことは禁止されていない」の立場である。を参照すると、不適切な寄付事例が閲覧できる。

会費の流用・ずさんな経理の問題

PTA会費の管理は、独自会計で、PTA会員が行うべきものである。通帳と印鑑の管理はPTAによりことなり、副会長兼務の教諭(教頭)が管理するケース、会計担当保護者会員に任されているケースなどがある。問題は、私費会計である学校徴収金・給食費等と一緒に、PTA会費が学校側に管理されるケースが存在することである。もう一つの問題は、会計には素人である保護者と教員が、会計監査を行うことであり、不正に気付かない原因となる。

会費の流用

  • 三重県で、教員の出張費や学校設備費などに年間約7億円以上流用三重県教委、1億5000万円を公費負担 PTA会費問題、朝日新聞1998年02月11日
  • 堺市立小学校で、消耗品、学習補助費、図書館費、保健衛生費に8180万円流用昨年度は総額8180万円 堺市立小学校のPTA会費流用、朝日新聞1998年02月21日
  • 県教育委員会委員に接待など(帳簿にある分だけで約100万円、冠婚葬祭、学校訪問の際の宴席費や手土産代、飲食代、ワイシャツの仕立て券)交際費なく…、苦しい弁明 春日井高校・PTA会費の流用、朝日新聞1989年06月26日PTA会費で県教委接待 愛知県立春日井高校、朝日新聞1989年06月26日金まみれ、県教委の視察 春日井高校のPTA会費流用接待、朝日新聞1989年06月26日伊藤・県立春日井高校長、姿見せず、朝日新聞1989年06月27日
  • 県教育長にお中元愛知県高校長会、一連の教育界不祥事で注意を喚起、朝日新聞1989年06月27日PTA会費を教委接待 県教育長に中元も 愛知県立春日井高、朝日新聞1989年06月27日虚礼廃止通知、自ら空文化 県教育庁、「私ももらった」、朝日新聞1989年06月27日春日井高校、県教育長らへ中元攻勢 PTA費流用の疑い、朝日新聞1989年06月27日
  • 県会議員に商品券県議に商品券 校長、着任時に2万円 愛知・春日井高PTA会費流用、朝日新聞1989年06月28日
  • 市議会議員に金粉入りの清酒権力の影(検証 愛知の教育 カネと人脈:中)、朝日新聞1989年07月03日
  • 学校の修理、教材、備品費など(一輪車、金管楽器、校訓碑、児童用図書、図書、印刷機、ガラス飾り棚、楽器、カメラ、いす、幕)もらう学校「慣れっこ」 伊丹市の簡保割引金流用、朝日新聞1989年07月14日「簡保還元金」を校費に流用 伊丹市のほぼ全小学校PTA、朝日新聞1989年07月14日
  • クラブ活動の旅費や学校の備品費、教育活動振興費(300万余円、バレーボールの支柱、バーベル、楽器、自動高圧滅菌器)簡保割引金の校費流用、伊丹・西宮の中学校でも、朝日新聞1989年07月15日
  • 県教委幹部への宴席接待や贈答攻勢春日井高校、リベートなどで裏口座 PTAが調査報告、朝日新聞1989年07月21日
  • 臨時職員の謝金(賞与)、図書券PTA会費や「運営費」など流用 三重の養護学校、朝日新聞1989年11月16日
  • 園の備品の購入や職員の研修「PTA再建へ努力を」 市理事会が要望 郡山西幼稚園 大和郡山、朝日新聞1990年11月09日
  • 事務職員がPTA会費約280万円を流用、依願退職PTA会費流用し学校備品購入 事務職員が依願退職、朝日新聞1994年11月16日
  • PTAの積立金や会費約205万円を、会計係(当時)の女性が生活費に流用PTA会計係が使い込み 学校側が穴埋め 県立鶴見養護学校、朝日新聞1996年04月04日
  • PTA会長、運用資金5000万円流用、横領罪起訴猶予処分PTA会長、運用資金5000万円流用 飲食店の運営資金に、朝日新聞
  • 学習補助費など小・中学校の「徴集金」、流用見さかいなし!?、朝日新聞1997年11月19日
  • 治療費体罰で負傷した生徒の治療費にPTA会費無断流用、朝日新聞1998年09月16日
  • 消費者金融への返済、交通事故の補償金道立浦幌高事務長、200万円着服 借金返済などに流用朝日新聞2000年01月24日
  • 借金返済PTA会費など着服の職員免職、朝日新聞2006年05月10日
  • 借金返済PTA会費、85万円流用 熊本市立小の元会長、朝日新聞2007年01月18日
  • 医療費PTA会費横領、中学校長を免職、朝日新聞2007年07月24日
  • 競馬、住宅ローンに、299万円、教頭を懲戒免職処分PTA会費流用、中学教頭を免職、朝日新聞2008年10月17日
  • ワックスがけ、来賓への弁当、教職員の名刺、校舎内の清掃、コピー機のリース代、校舎の窓の修繕、案内標識板の交換工事、切手購入、スクールカウンセラーへの謝礼、校舎の修繕、職員室の給茶器購入、教員の部活動引率手当、修学旅行下見の教員の旅費、健診時の校医の昼食、卒業式の来賓の弁当、非常勤職員の賃金、寄宿舎の配水管の修繕、学校案内資料の印刷代、樹木の枝切り、校舎のワックスがけ、芝刈り機や製氷機の修理、教職員の県外出張旅費、卒業証書の筆耕料、教職員の名刺代や結婚・出産祝いこれ、PTA負担か ワックスがけ・来賓への弁当・教職員の名刺 学校徴収金流用、朝日新聞2012年05月10日
  • 約2億4千万円が学校施設の修繕費や教職員の出張旅費などとして使われていたPTA費2.4億円流用 和歌山県立45校、施設修繕や出張に、朝日新聞2012年08月30日

ずさんな経理

  • PTA会費など計1133万円を引き出したまま事務長ずさん経理 一時、1100万円滞納 高崎の中学校、朝日新聞1991年11月21日
  • 事務長が横領、不明額は他のものと合わせて3311万不明額は3311万 高崎・大類中での横領事件(視角)、朝日新聞1992年01月31日
  • 副校長が学年費やPTA会費など約470万円を着服

労力に対する成果の少なさ

クーポンを綺麗に並べる時給100円相当の労働ボランティアをさせたり中央防災会議「災害被害を軽減する国民運動の推進に関する専門調査会」(第12回) 議事録 http://www.bousai.go.jp/kyoiku/keigen/undousuishin/pdf/kokuun12-giji.pdf</ref><ref>ベルマーク運動について考えるクリスマス会において、何色のグミを皿にいくつ足すか決めるのに1時間もかけたりThe PTA: a survival guide for foreign parents, The Japan Timesする活動が知られている。

退会を理由とした不利益な扱い

大阪府堺市内の中高一貫私立学校において、ある生徒が、親が保護者会を退会したことを理由に、中学校の卒業式でコサージュが貰えなかった事例がある。両親は保護者会と学校の理事長を相手取り訴訟を起こしたが、2017年8月に訴えが退けられている損賠訴訟 保護者会などへの請求棄却 毎日新聞 2017年8月19日

アメリカのPTA

1897年、当時まだ参政権のなかった女性2人、ウィリアム・ランドルフ・ハーストの母であるとが、ワシントンD.C.にて全米母親議会(National Congress of Mothers)を開いた。予想に反して、父親や教師や政治家も含め2000人もの人間が集まった。そのため「全米保護者教師議会 (National Congress of Parents and Teachers)」と名称を変え、後に「全米PTA団体(National PTA Organization)」へと発展し、幼稚園の設立、児童労働法、公共保健サービス、給食少年法予防接種の義務化などにつながる活動を行っているPTA:Our History 1897-1899(英文)

2007年現在、アメリカ国内にある全米PTA団体に属しているPTAは2万3000以上ある。しかし全米の90%以上の学校が何らかの保護者と教師によるグループを持っているにもかかわらず、PTAに正式に属しているのはわずか25%である。残り75%は各自が独立した団体で、PTO、またはHSA、PCCなどと呼ばれるPTO Today: Frequently Asked Questions(英文)。PTOの割合が高いのは、PTAの方針や運営方法に賛同しない団体が多いほか、私立校には宗教学校が多く、全米PTAよりも母体の宗教団体のガイドラインに沿った活動をするためである。

PTOが学校単位で活動しがちなのに対し、PTAは学校、州、国というヒエラルキーで構成され、すべての子ども達のためという長期的かつ広範囲な目標を持ち、それぞれの単位に合った内容で活動している。たとえば学校単位では、教員や職員をサポート、学校環境の改善、行事などを企画し実行する。州単位では、各学校からの質問に対してアドバイスを与えたり、学区のカリキュラム、州法の改定など州内の子ども達が対象となる事項について話し合いが行われる。国単位では、アメリカの教育政策に対するロビー活動を行っている。

過去にPTAが先鞭をつけた法案には、給食、予防接種の義務化、スクールバスの安全確保、テレビ放送内容のレーティング(年齢制限)などがある。近年PTAが政府関係者に働きかけているものとしては、安全な学校環境、保護者の介入や意向の尊重、給食の栄養標準の改新、公立校の支援強化などであるPTA F.A.Q.(英文)。また全米PTAは毎年子ども達が提出する数万の候補の中からテーマを決定し、そのテーマに基づいて百万点以上が出品される"リフレクションズ" (Reflections) という大規模な芸術コンテストを催している。各学校から選ばれた作品は学区PTA、州PTAに進み、全米PTAで受賞した作品はワシントンDCの教育省で展示される。

各学校のPTAは毎年、メンバーの家庭からPTA会費を徴収する。その中の一部を州PTAと全米PTAに収めることによって、学校の保険ではカバーされないイベントなどのためにPTA団体保険に加入したり、トレーニングを受けたり、州や全米PTAのサポートを受けることができる。

PTAも各学校の特色やニーズに合ったイベントやプロジェクトを立ち上げるが、PTOの強みは、会費の徴収の有無、活動目的や方針まで全てを決められる自由度の高さである。増加するPTOに対応して1999年に出版・サービス会社PTO Todayが幼稚園から8年生の保護者を対象とした雑誌『PTO Today』が創刊され、8万部発行している。PTO Today社は、独立しているPTOをまとめる事業も行っており、会費を払えばPTO Today Plusのメンバーとなって全米PTAと同じようなサービスを受けることができる。

PTA、PTOに限らず、教育熱心な親ほど学校に係わる傾向にあり、一般的にレベルが高い公立校ほどPTA (PTO) の活動が盛んである求められる父親のPTA参加。PTAが楽な学校を選ぶ日本とは対照的である。また日本が「今年はPTA委員に当たった」と、大量の仕事が一部の人間に集中するという現象が順繰りに回ってくるのに対し、アメリカでは毎年各家庭がPTAに加入するかどうかを訊ねられ、加入することは「今年も自分ができる範囲でPTA活動をする」という意志の表示となる。仕事を持ちながらシーズンを決めて活動する保護者も多く、教育法、会計、美術指導、図書整理や読書指導、作文添削、スポーツ・コーチ、学校周囲の交通整理、広報活動、緊急災害準備、寄付金集め、子どものクラス役員、親睦会、講演会、教職員への感謝週間など自分の専門や趣味を活かせる分野で活動する。私立校の場合は入学と同時にPTAに自動的に入会したり、ボランティア活動と現金寄付のどちらかを選択する学校もある。

諸外国におけるPTAの呼称

諸外国において、PTAは、アメリカ合衆国カナダイギリスイギリス連邦諸国、日本などで用いられる呼称である。学校職員 (Staff) を含めた"PTSA"、これまでの教職員・保護者による組織から発展させる意味で、「地域社会 (Community)」を加えた"PTCA"と称する学校もある。アメリカでは100年以上の歴史を持つ非営利組織、全米PTA(National PTA)に属している団体のみがPTAまたはPTSAを名乗り、属していないグループは"PTO" (Parent-Teacher Organization)など他の名称を用いる。

脚注

関連項目

Category:教育団体

wikipediaより

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