絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ、英語:Threatened Species、Endangered Species)とは絶滅の危機にある生物種(生物)のことである。
なお、Threatened SpeciesやEndangered Speciesは、狭義に、IUCNレッドリストのカテゴリーを意味する場合があり、その訳語としても「絶滅危惧種」や「絶滅危惧」が用いられることもあるWWF-Japan。
絶滅危惧種の定義の詳細は「現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用するならば、その存続は困難なもの」とされている。
広義には「絶滅のおそれのある種」と呼ばれ環境省レッドリストカテゴリーと判定基準 (2013.2)(2017年3月10日閲覧)、レッドリストで「絶滅危惧I類(Critically Endangered+Endangered:CR+EN)」「絶滅危惧IA類(Critically endangered :CR)」「絶滅危惧IB類(Endangered:EN)」カテゴリーのいずれかに分類された生物種のことをいう。}}。
狭義には、IUCNレッドリストのEndangeredカテゴリーの訳語として用いられることもある。また、日本の環境庁(現・環境省)が1991年に発表したレッドリストでは「絶滅危惧種」というカテゴリー名が使用されていた。
生物のある種が絶滅すること自体は、地球の生命の歴史においては無数に起きてきた事象である。
しかし、人間の経済活動がかつてないほど増大した現代では、人間活動が生物環境に与える影響は無視できないほど大きく、それによる種の絶滅も発生してきている。野生生物の絶滅は、これからの社会のあり方にも深く影響すると考えられている。
このような絶滅を防ぐためには、生息環境の保全や、場合によっては人間の直接介入(保護活動)などが必要とされることがある。
保全活動の前提として、どの種が絶滅の危機にあるのか、どの程度の危機なのか、また危機の原因はなにか、などを知る必要があり、生物種の絶滅危険程度のアセスメント(総合評価)が行われる。
アセスメントは地球規模で行われるものと、国や地域ごとに行われるものがある。
前者では国際自然保護連合 (IUCN) により、アセスメントとレッドリスト作成が行われている。また、後者では日本においては環境省が実施し、定期的にレッドリスト・レッドデータブックを公表している。ただし、クジラ類の哺乳類や海水魚、海棲の軟体動物は水産庁が担当する為、対象外となっている。トドなどの鰭脚類の哺乳類は環境省と水産庁の両方で管理されるが、評価基準が異なる。これらの事実から日本には完全にまとまった形のレッドデータブック及びレッドリストは、いまだに存在しないとする見方もあるWWFジャパン の見解、レッドリストについてを参照。。
また、1990年代から各都道府県でも学識経験者・地元有識者の意見や生息調査に基づいて、レッドデータブックが作成・刊行されている。種の選定にあたっての現地調査の正確性や客観性に左右される、評価規準と生息実態との乖離・都道府県ごとの評価規準の不統一・レッドリストの定期的な見直し・保全地域の選定・保全計画の策定等について課題が指摘されている。
「絶滅危惧種」という名称をつけるにあたり、当初は「絶滅危険種」。「惧」の文字が1994年時点で常用漢字外だったことから、仮名を当てる「絶滅危ぐ種」の表記も見られた。
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