豊田市
全庁舎・施設から飲料用自動販売機を撤去した街
公共施設に設置していた飲料用自動販売機を原則撤去することで、住民のライフスタイルの見直しにつながる取り組みとなった。
事例本文
自動販売機の過密さでは世界一の日本には、約250万台の飲料用
自動販売機が
24時間温めたり、冷やしたりしている。
日本の飲料水の約半分は
自動販売機で販売されているという。
これにかかる
エネルギーは
省エネタイプが増えたとはいえ、
原子力発電所の約1基分の電気を消費している。
エネルギーやごみの削減の観点からも、
自動販売機の削減を促進していきたいものである。
豊田市では、
持続可能な社会の実現に向けた
省エネ・省
資源及び
ライフスタイルの転換への
市民意識の高揚を図るため、
1997年12月に「豊田市の
公共施設における
自動販売機の取扱いに関する基本方針」を決定し、
1998年4月には市が
公共施設に設置していた飲料用
自動販売機のうち、
医療施設の3台を除き、106台すべて撤去した。
日本中の多くの
公共施設では飲料用
自動販売機の設置は当たり前のような光景となっており、
利用者の利便性という名目で使い捨ての容器に入った飲料水を販売・購入している。
しかし一方で使い捨てのものを安易に購入するライフスタイルを見直そうという
啓発も行うなど、矛盾も抱えたままとなっている。
豊田市の飲料用
自動販売機の撤去はこうした矛盾点や難しいと思われることに
果敢に取り組み、
市民・職員がライフスタイルを見直すきっかけづくりとして
多くの協力を得て実施することができた。
撤去後の10年目、2007年に実施した
市民調査では、回答した
市民の62%が
「
公共施設から
自動販売機を撤去したことで不便を感じない」と回答しており、
約4割が「よい取り組みなので続けてほしい」としている。
公共施設から
自動販売機を撤去することに当初は戸惑いがあったようだが、
大量消費・使い捨てという手軽さ、便利さを優先するライフスタイルを
市民一人ひとりが見直すことにつながってきたようで、
公共施設に原則
自動販売機がないことが住民にとっては当たり前の状態となっているようだ。
近年、豊田市以外の人も利用する機会が多く、
自動販売機撤去の周知の困難さ、
水分補給の必要性などを勘案し、観光施設やスポーツ施設、
24時間対応している老人施設や病院など26施設(全施設の1割未満)に
設置できるように一部運用を変更している。
しかしその際も所轄部署や
環境課で設置の必要性をチェックする仕組みがあり、
安易に設置できないようになっており、
公共施設に
自動販売機を設置しない方向は
今後も変わらない。
自治体情報