飯田市
ビジョンを形に充実した支援制度と協働が生み出す環境配慮型工業の成果
(1)充実した支援施策
(2)環境ベンチャー、新商品の誕生数の多さ
(3)具体的なビジョンとそこへ向けての地道な努力
事例本文
■概要
天然
資源や地理的条件に恵まれた飯田市は、古くから
地場産業が盛んで、その歴史を今も受け継いでいる。
近年では精密機械の製造工場も多数立地し、南信州の中核的
都市となっている。
市は、法令順守にとどまりがちな工業分野で、
積極的に
環境配慮型産業を創造していこうという明確な方向性を持ち、
企業と
信頼関係を深めながら共同で地道な努力をつづけきた。
市は、第4次基本構想(1996年度〜)以来、
将来ビジョンとして
環境・経済・社会的公正を満たす
「
環境文化都市」をめざした取り組みを展開してきた。
産業分野では、地域内の多くの企業が
行政機関を交え今後の地域産業のあり方を議論し、
工業マスタープランの策定を行った。
この中の柱のひとつ「新産業の創出」として
環境産業の育成に取り組んでおり、
企業が研究開発、試作などを繰り返し行った。
1984年に長野県や周辺市町村、業界が一体となって設立した
(財)飯伊地域
地場産業振興センター(理事長:牧野光朗飯田
市長)では、
工業技術センター、飯田EMC(ElectroMagneticSusceptibility)センター、
環境技術開発センター、飯田ビジネスネットワーク支援センターという各種センター機能を整備し、
環境配慮型の工業団地の整備、ソフト面では
環境技術相談体制および
環境配慮型製品の
認証体制の確立により、展示会などにおける
PRにより全国にも発信してきた。
■「LED防犯灯製品」の開発
2009年度先進事例に選ばれた「LED防犯灯製品」の開発も、
共同受注窓口(
ブランド名:NESUC-IIDA)を担う飯田ビジネスネットワーク支援センターの成果である。
飯田市は2008年度、政府により
環境モデル都市に選定された。
低炭素社会づくりを推進する
環境モデル都市行動計画の取り組みのひとつとして、
防犯灯のLED化をすすめている。
LED防犯灯は従来の防犯灯に比べ
CO2は約3分の2になるうえ、寿命は約5倍となる。
価格は今のところ従来品よりも約1.4倍かかるが、中期的に見ると大幅なコスト削減にもつながる。
さらに目に見えることから
市民の
環境意識向上にも効果があるだろう。
LED防犯灯の開発は、
第三セクターの共同受注窓口として飯田下伊那地域の企業間のコーディネートを行う
「NESUC-IIDA(ネスク・イイダ)」のメンバー業者が行った。
飯田市はここに発注を行うことで製品開発支援や雇用創出、地域経済への寄与を図っている。
2014年度までに市内の全防犯灯6,000本のLEDへの切り替えをめざしており、
2011年末時点で約3,600本が導入済みである。
3,600本の導入で60t/年の
CO2が削減できた計算になる。
費用面では2009年度は
環境省の「平成20年度
環境共生
地域づくり補助金」と
市の財源で賄い、2010年度以降は市の単費で実施している。
■次々に成果を生み出す工夫・コツ・体制
環境配慮型製品には、工業技術センターのセンター長や、
環境技術開発センターの
インキュベーションマネージャーなど、
専門知識を持ち、経験豊かで有能な
人材を
行政側の負担で配置したことにより、
官民一体となった支援体制により展開している。
特徴的なのは、
環境技術・
環境製品について成果発表会を開催し、
環境産業への取り組みを
他の企業にも情報提供する場を設けていること。
これにより、
環境産業への新規参入や製品・技術開発意欲を高めたいという
企業が増えるという相乗効果につながっている。
また、中小企業の
省エネ対策として低炭素化の推進とコスト削減のため、
相互に企業を点検したり発表会も合同で開催したりするなど、継続的な改善活動に取り組んでいる。
お互いの取り組みについて情報共有することにより、
企業の経営体質の向上に結びついており、地域内での好循環も生まれている。
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