北九州市
多様で戦略的な自然環境保全に関する取り組み
(1)数値化のみでない写真を利用した定量化の試み
(2)調査に基づき、地域特性に配慮した、地域住民との連携による多様な自然保全活動
(3)戦略的で住民参加の生物多様性戦略
事例本文
北九州市では、
住民参画による自然
環境調査の一つとして、
写真を活かした自然
環境の保全に取り組んでいる。
無理に数値化しても
市民になかなか伝わらないため、
写真による
定点観測を基幹的な調査と位置づけ、2005 年度より年1 回、
市内17 の定点で航空写真撮影を実施した。
また2004 年度より、
市民が気軽に調査に参加できることをめざし、
「自然発見」というテーマでフォトコンテストを開催した。
その結果、
市民からは市内で見られる生き物や
風景など、
1,000 点にも及ぶ写真が寄せられ、市は画像情報としてデータベース化している。
これらは数年を経て
環境に変化が生じる場合、
過去の健全な状況と対比することができる貴重なデータとなっている。
また、約2,000ha の広大な埋め立て地である若松区
響灘地区は、
野鳥、特に
渡り鳥が多く集まる237 種の野鳥を確認されている。
2005 年6 月、当地区を対象に「
響灘・鳥がさえずる緑の回廊創成構想」を策定。
主要な道路沿線を
緑化し、鳥の目から見た長い緑の帯(ネットワーク)となっている。
さらに、2005年度からは、緑の回廊事業の中で、産業と自然が調和する
魅力あふれる
地域づくりをめざし、
市民や企業とともに、
都市計画部とも
有機的に連携しながら苗木を育てる「響・どんぐり銀行」、
「
植樹会」にも取り組んでいる。これらの取り組みは他地域にも広がりを見せている。
さらに構想の中核的な事業として、
廃棄物処分場跡地に、自然創成の考えによる緑の拠点
「
響灘ビオトープ」(面積約48ha)の整備を行っている。
響灘ビオトープには、これまでに237種におよぶ鳥類や、
284種の植物、24種のトンボなどが確認されている。
その中には、
メダカや
ベッコウトンボ、
チュウヒなど
絶滅危惧種に指定されている希少な生物の姿もある。
2012年秋の正式オープンをめざし、園路や柵等の
ビオトープの整備や中核施設となる
(仮称)
響灘ビオトープネイチャーセンターの整備を進めている。
また北九州市では、
市民が取り組む自然
環境に関する保全活動や
普及啓発活動を支援することにより、
市民の自主的かつ継続的な活動を推進するため、
NPOや
市民団体を対象に自然
環境保全活動支援事業も継続的に実施している。
このような多様な取り組みの基礎となっているのが2005年に策定した
「北九州市自然
環境保全基本計画」である。
日本の
行政の管轄の中で自然保護、自然
環境保全は、市区町村の権限は小さかったため、
自然
環境保全基本計画を策定したのは北九州市が最初であった。
さらに、2008年に
生物多様性基本法が施行され、
同法第13条に生物多様性地域
戦略の策定が規定されたことを受けて、
自然
環境保全基本計画を改訂し、「北九州市生物多様性
戦略」を2010年に策定した。
このような
戦略的な取り組みは、
パートナーシップの考えのもと、
市民、
NPO・団体、事業者、学識経験者及び市で構成される
北九州市自然
環境保全ネットワークの会が、
戦略の推進、各プロジェクトの進行管理を行っている。
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