浜中町
協働で全国初の丸太魚道を設置
(1)地域住民、NPO、研究者、行政が協働で実施。
(2)重機は使わず、人力のみで全国初のユニークな丸太魚道を整備した。
(3)ローコスト・ハイリターン
事例本文
浜中町と別海町の境界を流れる風蓮川の支流である三郎川に、
高さ1.5メートルの上水用の
取水堰があり、
そのため
サクラマス、
アメマス、ヤマベ、
ウキゴリなどの
魚の行き交いが困難な状態になっていた。
その
取水堰の段差による上流域と下流域での水生生物の生息地分断を修復するため、
重機を一切使わず人力のみで
魚道を設置する工法を検討、2008年秋に実施した。
実施主体となったのは
酪農家や
農協、漁業関係者などの
地域の住民と
NPO法人霧多布湿原ナショナルトラストや研究者で、
設置作業には企業従業員や
JICA研修生など多様な人々、のべ200人が参加し、
行政職員も
ボランティアとして取り組んだ。
費用の約120万円は
NPO法人霧多布湿原ナショナルトラストが負担した。
町役場としては、連絡調整、河川の共同管理者である別海町と
別海・根室湾中部
漁協の了解を得ること、そして北海道庁との協議に取り組んだ。
一般的に
魚道設置には多額の経費が必要となるのみでなく、
永久構築物のため
占有期間を設定するのが困難なため、住民が自ら工作物を作る事例は稀である。
今回は町が法的な面をコーディネートし、志を同じくする仲間で、お金をかけずに構築した。
重機を使わず人力で
土嚢1629個と丸太を使って
魚道を手作りした。
大きな水位差が解消したことで、
設置直後から魚がジャンプして上がる様子が見られるようになった。
それだけでなく、共に汗を流したこの作業を通して、
これまで
家畜ふん尿による
水質汚染問題などによって対立することもあった
上流の
酪農家と下流の漁業関係者が、互いに理解し合うなどの成果も見られたという。
設置された
魚道は現在、
環境教育の題材としても活用されている。
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