ボランティアは、自らの意志により志願すること。特に日本語としてのボランティアは一般的に、公共性の高い社会への奉仕(チャリティー)に際して用いられることが多い。ただし「仕へ奉る」活動という字義や、また戦前の「勤労奉仕」のように過去には強制性を伴う活動で用いられた名称である歴史的背景があることから、自発性のみを意味するボランティアとは似ていても異なる点は注意を要する。なお文部省の定めるボランティア活動の基本理念は、公共性、自発性、先駆性である。
世界でのボランティアは自発性のみを指す言葉である一方、日本国内でのカタカナ語用法では奉仕との混同からか完全な無償奉仕や費用の自己負担が必要と考える人も多い。}}。そのため、対価や実費が出るボランティアは「有償ボランティア」などと区別される。
直接の語源は、聖書の副詞形ウォルンターテ「自ら進んで」(動詞「(ウォロ、「欲する」「求める」「願う」の意味。ラテン語にはUの文字はなくVを「ウ」と発音した)」)からラテン語ウォルタースを経て英語の となった「ボランティア」の源流は聖書が起点である―『石巻かほく』つつじ野 (2017年11月21日付) 。英語の の語の原義は十字軍の際に「神の意思」に従うひとを意味した八木雄二『神を哲学した中世』新潮選書、p.71。志願兵である。
現在でも「ボランティアをする(人)」は志願兵の意味で使用されており、徴集兵を意味する , とは対義の関係にある。なお、古代ローマ帝国とカルタゴが戦ったポエニ戦争の際、名将ハンニバルに大敗した古代ローマ帝国が奴隷の身分から解放する制度を導入した際に志願した奴隷をvolo(ウォロ)、複数形ではvoluntrii(ウォルンタリー)と呼称した。
この点を考慮すると、ボランティアの「義勇兵」「志願兵」を意味する起源は、古代ローマ時代の「奴隷兵」にさかのぼれる。日本のボランティア活動においては、完全な自己負担もしくは交通費や食費や実費その他活動に必要な実経費のみを実費弁償する「無償ボランティア」、または実費弁償の範囲を超えて低額の報酬を受け取る「有償(非利益化)ボランティア」、完全な営利化を行っている「営利ボランティア」などの呼称例が存在する。
ハーバード大学によると、ボランティア活動は喜びを高めるのに有効であると推奨している者もいる。また、ノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究者は、ボランティア活動などの親社会的な活動は、魅力を高めるのに有効であると推奨している。超高齢社会に向かいつつある社会背景の中で、アメリカ合衆国では定年退職者や高齢者の社会参加の一環として、若者の開発途上国でのボランティアを平和部隊として組織した先例に倣って、高齢者が学校や障害者、引きこもりの児童などに社会的なボランティアを展開するのをアメリコー(AmeriCorps、アメリカ部隊)と名づけて、アメリカ合衆国連邦政府から経済支援を与えることにした。
アメリカ合衆国では、州によって高校生・大学生の時期に、5,000時間ほどボランティアに従事すると、就職のためのキャリア形成につながるというシステムがある。ボランティアを募集する機関と、ボランティアをしたことを認定する機関や認定資格者が制度的に確立し、一定の活動条件を満たした場合には本人にボランティア認定証が発行される。
ロシアで開催された2018 FIFAワールドカップのボランティアの活躍でロシアの印象が前後で一変したと評価されている。現地取材した記者は頼りになるボランティアスタッフの存在の大きさを指摘している。大学生を中心としたロシアのボランティアスタッフがスムーズな英語を話せたこと、スタジアムだけでなく駅や空港、繁華街などで積極的なサービスが印象的だったと述べているW杯前後で印象が一変、現地取材記者が経験したロシアのおもてなし。
「ボランティア」「NPO」は、2002年1月18日に株式会社角川グループホールディングス(当時は、株式会社角川書店)が商標登録出願、2003年4月25日に登録されたが、2005年5月10日に商標登録を取消されている。2012年に厚生労働省が日本国内のボランティア活動者を対象として実施した調べでは、最大のボランティア人材源となっているのは主婦層および高齢者層である付属資料4. 高齢者の社会参画についての企業やNPO等の実態に関する既存調査一覧 内閣府共生社会政策統括官。
1995年の阪神・淡路大震災では、全国から大勢のボランティアが被災地に駆けつけたことから、「ボランティア元年」とも呼ばれる。震災が起きた1月17日を「防災とボランティアの日」としている。東日本大震災で罹災した男性が、恩返しとして災害ボランティア活動に参加するようになり、熊本地震・西日本豪雨・北海道胆振東部地震の復興に助力している。このように、被災した過去のある人々が恩返しとして、他の被災地でボランティア活動や支援活動に参加する動きが、日本に広がっている 社会 福井のニュース 福井新聞ONLINE|url=http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/620935|accessdate=2018-09-16|language=ja-JP|work=福井新聞ONLINE}}</ref><ref></ref><ref></ref><ref></ref><ref></ref><ref></ref><ref></ref><ref></ref><ref></ref>。ボランティアに関しては日本国内では「無償奉仕」の原則が諸外国とは違い定着し、特に災害ボランティアなどには、移動・食事・飲料・保険・事故等は自己責任とされ、ボランティア事態の「地位向上」がみられない。
災害 |
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人数 |
集計期間 |
138万人 |
1995年1月 - 1996年1月 |
8万人 |
2004年10月23日 - 2005年3月31日 |
3万人 |
2007年7月 - 12月 |
102万人 |
2011年3月 - 12年3月 |
4万人 |
2014年8月 - 12月 |
兵庫県西宮市の今村岳司市議会議員(当時)は、阪神・淡路大震災での被災体験を振り返り「ボランティアは、被災者が食うべきものを食い、被災者が飲むべき水を飲み、被災者が寝るべきところで寝(た)」と述べ、当時のボランティアのことを「観光気分で来た自分探し」「ただの野次馬観光客」「人から感謝されることを楽しみにやってきただけ」等とし、「要はプロに任せること」「被災地に必要なのは、プロだけで」あり、「部隊の指揮下で日本のために自分を犠牲にできる人だけが、「ボランティア=義勇兵」として現地入りすべき」だと述べた。
1948年にイギリスで開催されたロンドン五輪オリンピックがオリンピックボランティアの始まりである。2012年夏季ロンドンオリンピック・パラリンピックでは開催の2年前である2010年9月から募集が開始され、応募してきた24万人の中から書類選考などを経て最終選考に残った8万6000人に対して面接が行われ、その中から面接審査に合格した約7万人が参加している。ラフバラ大学Globalization and Sports修士の川部亮子はイギリス国内でスポーツに関連するボランティアのイメージが大会前より身近になったことを評価した一方で、審査に合格出来なかったために興味を持ってボランティアに応募したのに活かされなかった人々が沢山いたことを指摘している留学・旅・グローバル教育のニュースサイト}}。
2000年夏季シドニーオリンピックでは5万人のボランティアが参加した。自らシドニーの事務局に自己アピールをしてボランティアに選ばれたというオーストラリア国外からのボランティア参加者も少なからずいたと報道されている。大学院在学中に日本から参加した女性はオリンピックボランティアについて非日常空間として、「学校に通ったり、仕事をしたりしている中では味わえない経験が出来た」「1カ月間お祭りをやっている空間に当事者の人としていられるのは、ものすごく刺激的な経験」と述べている。シドニーオリンピックのボランティアの年齢構成については大学生を中心に若年層とリタイア世代の高齢者が多かったと明かしている 東京ボランティアナビ―東京2020大会に向けたボランティアウェブサイト―|url=http://www.city-volunteer.metro.tokyo.jp/jp/about/interview/experience/index.html|accessdate=2018-09-15|language=ja|work=東京ボランティアナビ―東京2020大会に向けたボランティアウェブサイト―}}</ref>。