東松山市
生態系も地域コミュニティも再生するホタルの里づくり事業
(1)対象地域の選出から整備工事、整備後の活用まで市民参画
(2)地域コミュニティの再生にも寄与している
(3)湧水の保全や休耕田の自然景観保全にまで波及している
(4)平和の取り組みともつながっている
(5)他地区の整備に波及するなど市民のエンパワーメントにつながっている
事例本文
東松山市では、1999年度、市内20か所余りの
ホタルの生息地について
市民とともに調査を行い、
3年余りの検討を経て上唐子地区を拠点地域に選出した。
対象地域は崖下にある竹藪におおわれた
湧水地で、長年管理がされず、荒廃していた。
整備に当たって市では、
地権者・
自治会と連判状形式で「上唐子
ホタルの里地域協定書」を締結し、
地域で一体となって整備・活用することを確認した。
施工には住民や他地区の
市民も参加して、近自然工法の護岸、
竹藪の整備、垣根の造作、丸太ベンチづくりなどが行われ、
竹林公園のような
市民の憩いの場が完成した。
地域自慢の公園ができ来場者も増えたことで、
地権者の意識もかわった。
薬剤散布が自粛され、隣接する休耕田でも草刈りなどの手入れが行われるようになった。
現在は、
自治会、
公民館、
小学校、原爆の図丸木美術館、
環境市民団体や
行政が幅広く参加して運営と事業活用が行われ、
“
ホタルと
平和"をテーマに開催した展覧会なども開催されている。
2007年春には、長崎で被爆しながら奇跡的に蘇った柿の木の二世(苗)を
平和のシンボルとして唐子地区に
植樹する「柿の木プロジェクト」も行われた。
これらの活動は「
ホタルの里通信」によって
市民に伝えられている。
「副産物」として、元気な高齢者が他の高齢者を助ける取り組みも
自治会で始められた。
2008度には、新屋敷地区と神戸(ごうど)地区での取り組みがスタートした。
新屋敷地区では、地元に
ホタルが生息することを知らない住民もいたことから、
まず観察会が開催された。
ここでも
地権者、
自治会及び市で3者協定を締結し、草刈りや湿地整備を3者で行っている。
自治会独自の活動としても、水質・水量の簡易調査や
ホタルの飛翔調査、
同地区他生息地での整備、観察会での見学者案内などを行っている。
また地元の
市民活動センターで開催されているウォーキングのコースに
ホタルの里が編入されることも
自治会からの働きかけで実現した。
神戸地区でも整備地の草刈り作業や
ホタル発光時期の夜間来場者の案内が行われている。
平行して、地域を住民自らが踏査して地域
資源を再発見し、
新たな
地域づくりへつなげる「地元学」が、上唐子とともに行われた。
お年寄りが子どもの頃遊んだ鞍掛山が荒れ放題となっていたことから、
遊歩道の整備や、水路に看板を設置することも
自治会を中心に行われている。
ホタルの里の整備を通して
地域コミュニティの再生や住民の
エンパワーメントが図られ、
それが他の地域にも伝播している点に、この事例の特徴と先進性がある。
自治体情報
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