地主(じぬし、)とは、(農地などの)土地を貸し付けて、それで得た地代(つまり「土地の貸し付け料」)を主たる収入として生活する人のこと『日本大百科事典』「地主」。地主というのは、古代から現代に至るまで存在するが、その存在のありかたは各時代において異なる。封建社会では、支配階級を構成する領主が地主(封建的土地所有者)として最高の領有権を持ち、農奴から地代を収取した(領主権という強力な権力にものを言わせて、取り立てた)。封建制から資本主義へ移行したのにともない、「地主的土地所有」は「近代的土地所有」へと転化し、地主の存在も社会のなかで変化してきた、という歴史がある。
このように地主の性質は時代(歴史)とともに変化してきているので、以下、古い時代から順を追って解説してゆく。地域ごとに歴史が異なるので、地域別に解説する。
帝政ロシア期のロシアの地主たち
(=ロシア革命以前の地主たち)は、ツァーリ(皇帝)による絶対的支配のもと、ブルジョワジーとともに、権勢を振るっていた。最大の地主は、ツァーリ(皇帝)であった。地主たちは土地を独占的に所有しており、農地の全面積のうち4分の3は、有力な大地主が占有していた。
当時のデータとして、ウラジーミル・レーニンによると、700人の大地主が平均して3万デシャチーナ(≒3万×1.09ヘクタールデシャチーナは、1918年まで使用されていたロシアの単位。1デシャチーナは1.0925ヘクタール。)の農地をそれぞれ所有し、その面積は、60万人の小地主の3倍である。
なお19世紀、ロシア帝国(の比較的 末期)を生きた文豪トルストイも大地主であったが、トルストイの場合は(小説家、大思想家らしく、普通の地主とは異なり、地主のありかたに疑問を感じ)小作人とともに働き、貧困層に援助をしていた。
ロシア革命とソヴィエト誕生によりツァーリの絶対的支配体制は終焉した。
ソヴィエト終焉以後の現代ロシアでは、資本主義経済が組み込まれている。