廃棄物(はいきぶつ、Waste)とは、不要になり廃棄の対象となった物および既に廃棄された無価物。
バーゼル条約でいう「廃棄物」とは、処分がされ、処分が意図され又は国内法の規定により処分が義務付けられている物質又は物体をいう バーゼル条約(和文) 環境省、2017年1月27日閲覧。。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)第2条によれば、「廃棄物」とは「ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによって汚染された放射性廃棄物を除く放射性廃棄物は、放射性同位元素規制法や特定放射性廃棄物最終処分法などによって規定されるため、廃棄物処理法の対象外となっている。)をいう」とされている。
ここでいう「廃棄物」については、「占有者が自ら、利用し、又は他人に有償で売却することができないために不要になった物」との解釈が厚生省(当時)環境衛生局環境整備課長通知により示されており、有価物は廃棄物ではないと判断される。
循環型社会形成推進基本法においては、有価・無価を問わず「廃棄物等」とする。
環境省の通知では、廃棄物とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために不要となったものをいい、これらに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断すべきであるとしている。
連邦法の資源保護回復法(Resource Conservation and Recovery Act/ RCRA)によれば、「廃棄物」とは「廃棄物は廃棄物処理施設、上水道施設又は大気汚染防止施設から排出されるあらゆるごみ、くず及び汚泥並びに工業、商業、鉱業、農業の事業活動及びコミュニティ活動から生ずる固体、液体、半固体及びガス態の物質を含んだその他の廃棄物のことをいう。」としている。ただし「生活排水の固形物と溶解性物質、灌漑排水の固形物と溶解性物質、連邦水質汚濁防止法第42条に基づく排出許可が必要な点汚染源である工場廃水あるいは1954年原子力エネルギー法で定義されている放射線源、特定放射性物質又は副産物は含まない。」としている。
日本の「廃棄物」に相当する言葉として、 中国では「固体廃棄物」が用いられる。「固体廃棄物環境汚染防止法」第八十八条によれば、「廃棄物」とは「利用価値が無い」 か、 あったとしても 「廃棄・放棄されている」 ものであり、日本における一般廃棄物・産業廃棄物の分類に近い 「生活系ごみ」「産業固体廃棄物」の定義が存在することに並列して「危険廃棄物」が定義された3つに大分類されることが見て取れる。
バーゼル条約では廃棄物の「処理」とは、有害廃棄物又は他の廃棄物の収集、運搬及び処分をいい、処分場所の事後の管理を含むとしている。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)では、廃棄物はまず産業廃棄物と一般廃棄物に大別される。
産業廃棄物を埋め立てる最終処分場の残余年数は概ね増加傾向にあるものの首都圏では2022年4月1日時点で13.4年(全国は19.7年)と依然として厳しい状況がある。また、最終処分場の数にいたっては概ね減少傾向にあり、最終処分場の確保は引き続き厳しい状況である。令和3年度末現在、一般廃棄物最終処分場は1,557施設(うち令和4年度中の新設は10施設で、稼働前の4施設を含む。)、残余容量96,663千m3であり、平成28年度以降、1億m3前後で推移している。残余年数は全国平均で23.4年であり、令和3年度以降23年前後で推移している。大都市圏における残余年数の状況については、首都圏では30.0年、近畿圏では19.6年であった。
また、減少傾向にあるものの食料の廃棄の多さが問題とされることが多い。食品廃棄物は、令和3年度で本来食べられるにもかかわらず捨てられてしまう「食品ロス」が、約523万トンであったと推計された。内訳として、事業から279万トンであり、家庭の場合は244万トンであった。
資源保護回復法(Resource Conservation and Recovery Act/ RCRA)では、廃棄物はまず有害廃棄物(hazardous waste)と非有害廃棄物(non-hazardous waste)に大別される。
有害廃棄物(hazardous waste)は「その量、濃度あるいは物理的、化学的又は感染症的性質により(A)死亡率の増加あるいは回復不可能な重度の病気又は回復はしても機能の一部が失われてしまうような病気の増加に重要な要因を与える、もしくは、(B)適正でない処理、保管、搬送又は処分などにより現在もしくは将来にわたり危険をもたらすことになる、廃棄物又は廃棄物の混合物のことをいう。」と定義されている。非有害廃棄物(non-hazardous waste)は、資源保護回復法にサブタイトルはあるものの定義はなく、アメリカ連邦規則集(Code of Federal Regulations)で「環境保護回復法のサブタイトルCによって規定された有害廃棄物でない廃棄物で、製造・生産過程で発生した廃棄物」と定義されている。
州の廃棄物処理計画が連邦環境保護庁に承認されると、州政府が廃棄物処理の規則を定めて管理を行う主体となる。廃棄物の区分や指導も州により様々で、連邦環境保護庁では商業ごみ(Commercial waste)と産業廃棄物(Industrial waste)を区別しているが、これらを区別していない州もある。
廃棄物処理については計画・評価を除いた収集・処分について、公共の関与が薄れ、民間業者に委ねられる傾向が強くなっている。ニューヨーク市では財政危機や埋立て処分場の不足により、公営の埋立て処分場を閉鎖し、ごみの収集や処分を民間企業に委託している。
「固体廃棄物環境汚染防止法」では、廃棄物は「生活系ごみ」 「産業固体廃棄物」と「危険廃棄物」に大別される。
実は2017年の全国代表人民大会にて、「ごみの分別処理制度を普及させる」ことが重要課題として言及されている。中国ではごみの分別が2018年から北京や天津、広州市など46の重点都市で全国に先駆けて試行、2019年から全国の市級自治体(日本の県に相当)及びそれ以上の都市で生活ごみの分別作業が全面的にスタートした。2020年末までに46の重点都市で分別処理の体制を整えるとしている。その中でも、「中国で最も厳しい分別規制」と言われている「上海市生活ごみ管理条例」が上海市で7月1日施行された。
「上海市生活ごみ管理条例」では、生活ごみを「リサイクル資源」(缶、瓶、衣類、プラスチックなど)、「有害ごみ」(電池、蛍光灯など)、「湿ったごみ(湿ごみ)」(生ごみなど)、「乾いたごみ」(汚れた紙屑、おむつなど、その他のごみ)、の4種類に分別することとし、「決められた時間に決められた場所に」ごみを出すこととしている。
同市政府の2019年11月の報告においては、施行から3カ月間において、回収したリサイクル資源は約5960トン/日、湿ったごみ(生ごみ)は約8710トン/日であり、2018年10月と比べると、それぞれ5.6倍と2倍と増加した。このほか、乾いたごみは14,830トン/日(同月比33%減)、有害ごみは1トン/日(同月比10倍以上)とされ、適正な分別に成果を挙げている。