財産

財産(ざいさん 英:Property)は、個人団体に帰属する経済的価値があるものの総称で、有形・無形を問わず財産権の対象となるものコトバンク「財産」日本大百科全書、デジタル大辞泉、百科事典マイペディアの解説より。。似た言葉に「資産」があるが、これは有形・無形の財産に関する会計上の概念(決算期末など一時点における財産評価額)であるコトバンク「[https://kotobank.jp/word/%E8%B3%87%E7%94%A3-4144 資産]」百科事典マイペディア、株式公開用語辞典の解説より</ref>。

概要

経済学政治経済学においては、私有財産公共財産組合財産という財産の3形態がある

社会学人類学では、財産がしばしば1つの対象物と複数の個人との関係(少なくともこのうち誰か1人は同対象物の財産所有権を有する)と定義される。
異なる個人が1つの対象物に対して異なる権利を有することが多い「組合財産」と「私的財産」の区別は混乱しがちであるMax Planck Institute for Social Anthropology, Property in Anthropology,

日本の民法86条は、有形の財産を不動産(土地および土地に定着している物)と動産(不動産以外の物)に大別している民法条文解説.com「民法第86条第1項(不動産及び動産)。これら有形の財産には、所有者が直接的に支配する様々な物権所有権用益物権担保物権など)および債権が付随する。無形の財産は、発明や芸術・音楽・著作といった創作者の経済的利益を保護する知的財産権特許権商標権著作権など)が代表的で東建コーポレーション「[https://www.token.co.jp/estate/useful/archipedia/word.php?jid=00022&wid=31135&wdid=01#:~:text=%E3%80%8C%E7%84%A1%E5%BD%A2%E8%B2%A1%E7%94%A3%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81,%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%A8%A9%E5%88%A9%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82 無形財産]」『住まいの反対語・対称語集』2022年7月31日閲覧。</ref>、企業や個人の持つ知名度信用なども無形の財産にあたる。しかしながら、知的財産権は必ずしも(特に開発途上国で)広く認識されているとは限らず、施行保護されていない場合があるAnti-copyright advocates and other critics of intellectual Property dispute the concept of intellectual Property.http://praxeology.net/anticopyright.htm.。1つの財産が、有形な部分(実物)と無形な部分(付随する権利等)を持っていても構わない。とりわけ所有権は、財産と他者との関係を確立しており、所有者が適切と考える方法でその財産を処分する権利を所有者に保証している。

財産を意味する英単語「プロパティ(Property)」は、単体だと特に不動産を指すのに使われる。また歴史的に見ても、資本主義以前の社会における主要な財産は土地であり、財産制度は土地所有のあり方によっていたコトバンク「私有財産制」日本大百科全書の解説より

種類

日本を含む大半の国家・地域の法体系が財産を複数の種類に分けており、とりわけ「不動産」と「動産」とを区別している。また多くの場合、それら法体系は「有形」と「無形」の財産を区別している。

無形財産の取扱いについては、財物が相続可能でも法律ほか伝統的概念によって期限切れになる場合があり、この点は有形財産との大きな違いである。有効期限が切れると知的財産は創作者の手から離れて、使用料を払う義務もなく万人が利用可能になる(パブリックドメインジェネリック医薬品などが典型例)。

日本では、相続に際して被相続人の遺産を「積極財産」と「消極財産」の2つに分類することがある。前者は簿記上の概念でいう「資産」にあたるもの、後者は「負債」にあたるもので、ここでの財産とは一定会計単位組織の有する権利・義務の全てを含むものとされるコトバンク「[https://kotobank.jp/word/%E8%B2%A1%E7%94%A3-67907 財産]」世界大百科事典 第2版の解説より。相続人は被相続人の財産に属する全ての権利義務を継ぐことになるため、消極財産のほうが多い場合は相続放棄することも可能である。

債権回収の実務においては、債務者が有する差押えの対象となる財産の事を「責任財産」という。一方で、民事執行法において差押えすることができない動産や債権もあり大津法律事務所「第1 債権について」2022年7月31日閲覧。、こちらを「差押禁止財産」という。

多くの社会では人体が何らかの財産と考えられている。自分の体の所有権と各種権利の問題は、概して人権の議論において生じる。ビジネス界にも「体が資本」という定型句がありコトバの意味辞典「「体が資本」とは?意味や使い方を例文も含めてご紹介」2021年01月29日、身体が健康で普段通りに活動できることがその人の財産であることを説いている。

経済体制と財産

財産に対する捉え方は、その社会の経済体制によって違いが見られる。

  • 資本主義には、財産権がその所有者に財産を生じさせてを生み出し、市場運営に基づいて効率的な経済資源の配分が促されるという中核的な前提がある。ここから哲学者のアンドリュー・J・ガランボス(1924-1997)は、財産を人の生命とその人生における非生殖的な全ての派生物と定義した。

ガランボスは、財産が非強制的な社会構造に不可欠だと説いた。彼は自由を「あらゆる個人が自分の財産を完全に(100%)支配しているときに存在する社会的条件である」と定義した。ガランボスは、財産を次の要素を持つものと定義しているGalambos, Andrew (1999). Sic Itur Ad Astra. San Diego, California: The Universal Scientific Publications Company, Inc. pp. 868?869. .

  • 原始財産、これは個人の生命である。
  • 一次財産、これには観念や思考や行動が含まれる。
  • 二次財産には、個人の一次財産の派生物である全ての有形および無形の所有物が含まれる。

財産とは、個人の人生における非生殖的なあらゆる派生物であり、これは子供が両親の財産ではないことを意味するGalambos, Andrew (1999). Sic Itur Ad Astra. San Diego, California: The Universal Scientific Publications Company, Inc. p. 23. .。上の定義に従えば、子供の生命は本人の「原始財産」であり、親や保護者が所有する財産ではない。

ガランボスは、実際のところ行政府は財産を保護するために存在しており、国家が財産を攻撃すると繰り返し強調した。例えば、国家は人々がそのようなサービスを望むか否かにかかわらず、税金の形でそのサービスへの支払いを要求する。個人のお金は当人の財産なので、税金という形でのお金の没収は財産に対する攻撃である。徴兵制も同様に、人の原始財産に対する攻撃である。

現代的見解

自然人が財産を所有し契約を結ぶ権利を享受していると考えている現代の政治思想家は、ジョン・ロックについて2つの見方がある。一方はロック礼賛派で、ウィリアム・H・ハット(1956年)のように、ロックが「個人主義の本質」の土台を作ったことを称賛した。一方、リチャード・パイプスほかの人達はロックの議論を弱いと見なし、それへの過度な依存が近年の個人主義の理念を弱めていると考えている。パイプスは、ロックの著作がハリントンの社会学的枠組ではなく「自然法の概念に依拠していたため後戻りが特徴である」と書いている。

エルナンド・デ・ソト (経済学者)は、資本主義市場経済の本質的な特徴が所有権と取引を記録する正式な財産体系における財産権の国家保護機能だと論じている。これら財産権と財産の法体系全体は、以下のことを可能にしている。
  • 資産を保護する地域社会の協定からの個人の独立増大
  • 明確で、証明可能で、保護可能な所有権
  • 一国全体での財産規則と財産情報の標準化および統合
  • 経済取引での不正行為に対する処罰の確実性向上に由来する信頼性増加
  • 各企業の共有リスクと所有権および同リスクに対する保険でのより直接的な想定を可能にする、より公的で複雑な書面による所有権声明
  • より多くの物が融資の担保として機能できるため、新規事業向け融資の活用性向上
  • 信用履歴や資産価値等に関する情報への容易なアクセスと信頼性向上
  • 財産の所有権を文書化する声明の代替可能性、標準化、移動可能性の向上(これによって、各企業にとっての国内市場や、個人ほかの主体による複雑なネットワークを介した財産の容易な移動などの構造に関する道が開かれる)。
  • 焼畑農業慣行の最小化による生物多様性の保護強化

デ・ソトによると、上記のすべてが経済成長を促進する。学識者達は、財産または土地に金銭的価値を割り当てることによりコモディティ化することが伝統的な文化遺産を(特に先住民族から)奪ってしまう事を指摘して、財産が考慮される資本主義の枠組みを批判しているKristen A. Carpenter, Sonia Katyal, and Angela Riley, 'In Defense of Property' [2009] 118 Yale L J 101, 101-117, 124-138Margaret Jane Radin, Property and Personhood, 34 STAN. L. REV. 957, 1013-15 (1982)。これらの学者達は、財産の個人的な性質と現代西洋社会が支持する富の創造との相容れないアイデンティティの関連を指摘している

関連項目

脚注

注釈

出典

外部リンク

Category:環境社会科学の概念

wikipediaより

このキーワードに関連するベストプラクティス

詳細検索:条件をk選択して検索できます。

google地図から検索:Google Mapから検索できます。 google画像から検索:事例ごとの画像で検索できます。
環境首都コンテスト全国ネットワーク
辞令を動画でみる:公益財団法人ハイライフ研究所