飯田市
環境省のまほろば事業で起業し、全国の市民による自然エネルギー普及活動をリードするパートナーシップ型環境エネルギー事業
(1)自然エネルギーと省エネルギーサービス(ESCO)を組み合わせた民間による新しい準公共的事業
(2)電気の長期買い取り保証とESCO対象案件についての市の政策的バックアップ
(3)ハードだけでなく、環境教育も含めたソフト面の活性化
(4)事業・人単位ではない継続的な関係の構築
事例本文
飯田市は日照条件が良く、2004年度に策定した「飯田市
新エネルギー省
エネルギー地域計画」においては
太陽光発電システムを全世帯の30%に普及させる
目標が掲げられている。
2004年度、市が
環境省の「
環境と経済の好循環のまちモデル事業(平成のまほろば事業)」
に採択されたことをきっかけとして、従来からバイオディーゼル燃料の普及啓発などを行っていた
NPO法人南信州おひさま進歩を母体として官民
パートナーシップで準公益的事業を進める
「おひさま進歩
エネルギー有限会社」が設立された。
事業内容は、
太陽光発電と省
エネルギーサービス(ESCO)である。
太陽光発電は
保育園や
公民館を中心とした
公共的施設38か所(モデル事業では37か所)に合計208kWが取り付けた。
施設側(
行政関連も含む)は事業会社に屋根を無償で提供し、
太陽光により事業体が生産した電気を施設が買い取る仕組みとなっている。
市は、
政策として電気の買い取り価格の長期保証を行い、この事業の安定性に寄与している。
また、初期投資なしで
省エネと
CO2削減が実現できるESCOサービス事業を2005年度、
2006年度は
公共と民間あわせて12件の市内の施設に導入。
太陽光とESCOの事業資金としては全国230人の
市民からリターンもある
「
市民出資」として総額2億150万円を集めた。
これらの事業の特徴は、
太陽光発電設備の設置というハード面のみならず、
太陽光発電を設置している施設における
環境教育というソフト面をミックスし、
施設利用者の関心を継続させているところである。
最初の点灯式は園児や保護者とともに開催し、マスコットキャラクターである「さんぽちゃん」とともに、
子どもを対象にした劇仕立てによる
環境教育プログラムを定期的に実施している。
また出資者が飯田市を訪れるエコツアーを行っており、地元との交流の機会も設けられている。
その後、おひさま進歩は2006年度に
環境省の
「メガワットソーラー共同利用モデル事業」に採択され、
太陽光発電の設置はさらに拡大した。
38か所に加え、2007年度44か所、2008年度48か所、2009年度32か所に設置され、
全162か所、全
発電容量1281kW、
CO2約711t/年削減効果を得られるまでに至っている。
この事業は飯田市との
協働事業ではないが、「まほろば事業」の延長として、
設置可能な
公共施設の紹介などで協力関係を維持した。
なお、2007年11月からは、おひさま進歩
エネルギー有限会社から
「おひさま
エネルギーファンド株式会社」を設立し、
市民出資事業を全国的に展開している。
おひさま進歩にとって飯田市との関係はまさに事業展開のパートナーであった。
飯田市は当初から
行政主導ではない民間で事業が回せるようにしていける力を
つける(
エンパワメント)ことを基本スタンスとして堅持してきた。
同種の事業の多くが、国からの
委託事業期間、または、
熱心な担当者が
異動するまでという単発型の事業展開にとどまった一方、
飯田市が時流をうまく捉え、担当者の
異動に左右されない
協働関係を大切にしてきたからこそ、今があるのは間違いない。
自治体情報
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