飯田市
里山保全と環境教育を一体化 学友林整備事業
荒廃し減少している里山を将来にわたって管理・保全し、併せて子どもの環境教育に役立てることを目的としている。
事例本文
市内の全
小学校にそれぞれ
里山を「学友林」として整備し提供している。
まず「学友林」との綴りが目を引く。
一般的には「学有林」。単に学校が所有する林ではなく、学びの友の林。
親しみが湧いてくる。
本事業は、
里山の一部を学友林とすることで学校周辺における
緑の保全と
環境学習の実践の場として積極的に活用することをめざし、
学校近くの
里山の
雑木林を市が買い上げ、あるいは借り上げて教育活動に活用できるよう
下草刈りなど基礎的な整備を行い学校へ提供している(2011年度全17 校中14校について整備済み)。
学友林の運用は基本的に各
小学校に一任している。
運用条件は「
雑木林を
雑木林として残すこと」である。
立地条件、
植物相、 校風などにより各校個性豊かな取り組みが行われている。
例えば、学友林につくってある遊具で遊ぶ、採取した木の実や葉を使った工作、
飯盒炊爨、
しいたけ栽培、秘密基地づくりなどを生活科や理科、
総合的な学習の時間などを活用して行なっている。
学友林をしっかり活用しようとすれば、学校単独では難しいところもある。
そこで、
PTAや土地利用検肘委員会、
農協青年部、地元の自然保護団体、
財産区、
公民館などからも
整備のためのマンパワーやゲスト講師などとして協力を得て実施している。
地域住民、団体がかかわることで児童と地域の大人との
コミュニケーション、
地域の
財産としての学友林のあり方を住民が考える機会にもつながっている。
また、維持管理の継続性も生まれる。
学友林の活用により得られる効果としては、自然に親しむ場、遊びを通して
体力やバランス感覚などの養成、発想力、行動力を身につけることなどが挙げられる。
ただ、学友林をめぐる
環境は順風ばかりではない。
少子高齢化による維持管理の困難化、「
ゆとり教育」の見直しによる活用時間の減少、
教員の力量不足など、問題も山積している。
そのような逆風の中にあっても、こどもにとって身近な自然はかけがえのない宝物である。
地域の知恵と工夫で将来へ継承されることを期待したい。
自治体情報