京丹後市
「公共交通対策プロジェクトチーム」の設置と、運賃上限200円バスの市内全域快走!
(1)横断的な職員力を結集して重要施策の解決・処理に取り組む「公共交通対策プロジェクトチーム」の取り組みが、公共交通の利便性を向上させ利用者増の成果を生んでいる。
(2)運賃上限200円エリアで市内全域をカバー、大幅に利用しやすい公共交通機関になった。
(3)過疎地域での赤字バス路線の大胆な運賃値下げによる、利用増・増収が実現した。
事例本文
京丹後市は、複雑多様化する
行政需要に対しその
行政課題を明確にし、
弾力的かつ機動的な施策の推進と複数部署に関わる重要施策や課題を
限られた期限内で解決・対処することを目的として、
2006年に「プロジェクトチーム設置規程」を定め、
横断的な職員の力や知恵を結集する仕組みをつくった。
この規程に基づき同年から「
公共交通対策プロジェクトチーム」が設置され、
機動的かつ横断的な
交通施策の推進を図り、多様な
交通政策を展開。
乗客増につながる成果を挙げている。
企画総務部に設置されたこのチームには、
本人が配属を希望した職員も含めて担当部署以外から5人の職員が参画。
メンバーは毎年更新され、職員の中から募集もされている。
特命チームともいえる組織に所属することで、
単に
公共交通を移動手段として捉えるのではなく、まちの活性化と、
人々の暮らしを守る安心・安全な
まちづくりに貢献する「社会機能」を
有するとの認識が職員間に浸透している。
チームは、
高齢化や
環境負荷問題に対応するために、
市域の実情に合わせた
公共交通ネットワークの構築をめざして、
丹後地域「分かりやすく、使いやすい
公共交通ネットワーク実現会議」の中で、
京都府、丹後地域の市町、
北近畿タンゴ鉄道、
丹後海陸交通(丹海
バス)と
連携して取り組んでいる。
その一環として、2006年度に、市内8路線で上限を200円とする
バス路線を導入した。
1年間の
社会実験の後、2007年より市域全体に200円
バス路線を拡大。
合併により広大な地域を抱えることになった京丹後市全域の
バス路線をカバーした。
変更された運賃の例として、久美浜駅〜峰山駅では、片道:880円の運賃が200円に、
定期(1ヶ月)料金:32,030円が7,280円になり利用者から歓迎された。
地域路線
バスの利用者は、200円
バス導入前(2006年度)は14,500人/月だったが、
2009年度には27,400人/月と、およそ2倍にも増加。
運賃の大幅値下げによる減収を利用者増による収益が上回る結果をもたらした。
特筆すべきは、
市街地ではなく、
公共交通の基盤が必ずしも強固とはいえない地域で
かつ運賃が割高なため、
車社会となっている地域で利用の増加があったことだ。
これまでの
赤字補填による運行という形に一石を投じる事例といえる。
「同じ補助なら、
赤字補填より乗ってもらいたい」という市や事業者の意識、
「自分たちの地域の
公共交通は自分たち自身が乗って守る」という住民の意識も強く、
地域が一体となって
公共交通の利用を進めている。
現在では住民の通勤・通学や外出、観光客などの足として地位を確立している。
丹海
バス路線だけでなく、市営
バスも200円以下の運賃を設定、運行を開始している。
複数部署に関わる
交通施策の推進や課題を、限られた期限内で解決・対処するために、
横断的な職員の力や知恵を結集できる「
公共交通対策プロジェクトチーム」設置が
他
自治体にも広がることを期待したい。
自治体情報
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