野洲市
地域から取り組む「環境と経済の両立」-地域通貨「すまいる」と“野洲版”地産地消
地域通貨創設や地産地消促進、太陽光発電普及を通じ、環境と経済の両立を目指す。「生産者と消費者」「行政と市民」「市民と市民」と、あらゆるところに顔の見える関係をつくり拡げていく。
事例本文
野洲には、“野洲版”
地産地消の推進をうたった「すまいる」という
地域通貨がある。
すまいるが使える加盟店舗は、地元
農産物やその加工品を扱う商店、
暮らしや住まいに関するサービスを提供する地元事業所、
それに
公共施設など、実に多岐にわたっている。
そして、すまいるの売上金は市内の
太陽光発電パネル設置費用に充てられ、
環境意識の向上や
環境まちづくりに向けたシンボルとしての役割も果たしている。
2009年には、
農協や
漁協、
消費者団体、生産
森林組合、青年会議所、市役所などからなる
「おいで野洲まるかじり協
議会」が誕生し、
地産地消に向けた動きがさらに活性化している。
その着目すべき活動の一つが、
地域版
アンテナショップ「すまいる市」(市内外に計2店舗)の運営である。
店舗に商品を提供しているのは農家だけでも150以上にのぼり、
新鮮で安心な
農産物を求める人々で店内は賑わっている。
すまいるには「市内の加盟店が分かりにくい」「加盟店が散在していて行きにくい」
といった声が発足後から寄せられていたが、すまいる市はその課題解決にも一役買っている。
また協
議会は、移動販売車「すまいる号」の運行も手がけている。
すまいる号は、
高齢化がすすむ市内住宅団地などを精力的に巡回しており、
買い物のための
交通手段がないお年寄りを中心に好評を得ている。
また最近では小規模農家向けに集荷も手がけており、
彼らの負担軽減や生産意欲向上に大きく寄与している。
さらに協
議会は、年に数回、
食育や
環境学習をテーマとした一般向けイベントも開催している。
イベントを企画・運営する中で、
環境基本計画推進会議や
まちづくり協働推進センターなど外部の関係主体と積極的な連携が図られていることも、
特筆すべきである。
これら一連の取り組みは、
「
環境保全は
環境部局」「
農業振興は
農業部局」「社会
福祉は
福祉部局」といった発想ではなく、
地域課題の統合的解決を目指すという点で、実に意義深いものである。
そしてそれが可能になったのは、地域をよくしたいと願う
行政・事業者・
市民が時間をかけてともに議論し、
顔の見える関係づくりや仕組みづくりを通じて成果を一つずつ着実に積み重ねていく、
という姿勢を貫いてきたからであろう。
自治体情報
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